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「5社合同ルーキーズゲームジャム」2日間でアナログゲームを制作!

2017-05-16 16:16:00
ゴールデンウィークも遠くに過ぎ去り、新社会人として入社した新人の読者さんも、先輩社会人の方も、まだ学生の方それぞれ忙しい日々を取り戻してしまっていることだと思いますが、今回は4月20日(木)21日(金)に株式会社バンダイナムコスタジオ本社で行われたゲーム業界の新卒達による熱き「5社合同ルーキーズゲームジャム2017」の様子をお伝えしていきます!

ルーキーズ、というだけあって参加者は各ゲーム会社の新卒社員のみ。更に、4月も後半なので「見知った相手とだけ組む」事にならないように、各社混合編成になるように数人ずつのチームに分かれて、2日間で各チームごとに一つのアナログゲームを作っていきます。即席のチーム、即席の企画を練り上げてゲームを作っていく中で、各社の新卒社員はゲーム制作の仕事に必要な「遊び」の考え方やチームワークを学んでいきます。

本稿ではその「5社合同ルーキーズゲームジャム2017」に潜入取材!各社のルーキー達が学んだ「ゲーム作り」2日間のレポートをお届けします!
 

5社合同Rookies’ Game Jam 2017 概要


▲企画をまとめている最中のあるチームの様子。ここから要素を削ぎ落とし、整理してゲームに落とし込んでいく。
 
株式会社バンダイナムコスタジオ、株式会社バンダイナムコオンライン、株式会社マトリックス、株式会社アバン、株式会社シフォン(順不同)の各新卒社員を集めシャッフルしたチームを構成し、2日間で一つのアナログゲームを作っていきます!

各社とも普段はデジタルゲームや映像制作をお仕事にしていますが、アナログゲームを作成することで、ゲーム制作に必要な「遊び」の考え方やチームワークをリアルに学ぶことを目的としています。

1日目
10:00 集合、全体説明
10:30 ワークショップ 
13:30 アナログゲーム制作開始
15:00 企画発表
18:30 進捗発表

2日目
10:00 集合、全体説明後開発続行
16:00 ゲーム完成&各チーム最終プレゼン~試遊会
18:30 懇親会&投票結果発表

スケジュールはご覧のとおり。2日間と言っても制作に使える時間は説明やワークショップの時間を除いて8~9時間程度。
この時間の中で「企画立案~テストプレイ~デバッグ・バランス調整」までを行い、更に2日目の最終プレゼンの時にはコンポーネント(アナログゲームでいうカードやサイコロなど、遊ぶ時に使う道具類)も作るまたは用意しておく必要があるので、結構な駆け足で作っていくことになります。

この限られた時間の中で精一杯作り、お互いのチームに対してベストゲームの投票を行い、最後には投票結果の発表も行われるので、いずれのチームも真剣です!
 

ワークショップ

株式会社シフォンの末広幸子氏が「ゲームデザインとは?」をテーマにゲーム作りのポイントを説明。
このワークショップ自体は毎年参加企業の担当が持ち回りで説明を行っているというが、最初に必ずゲームデザインの基本ルールを新卒社員たちに伝えることを目的にしているといいます。
 

新卒社員の方々の入社の経緯は様々ですが、専門学校や大学でチーム制作を学んでいる人もいれば、学んでいない人もいます。
また、制作の仕方も担当によっては効率良くすすめるために「デザイナーは絵を描いてくれ」「企画についてはプランナーがとにかく全部考える」というふうに学んできた人もいれば、多少のぶつかり合いもコミで作っていこうと「役割や職業にかかわらず、柔軟にその場その場で誰でも自由に仕様を話して決めていくことができる」という場所で学んできた人もいます。

就職先の所属チームの考え方や仕事の性質次第で考え方や仕事の仕方も変わってはきますが、本ワークショップでは「ゲームデザイン」の概要とやり方の一例を伝え、それに基づいて実際にテストプレイを行い、自分たちでルールをつくるところから体験していきます。


【ゲームの基本のルール】
1.遊び方/手順
2.結果に対する判定基準
3.勝利/敗北条件

どのように遊んで、どのように勝敗が付くのかを決めるのが基本ルール。

そしてその基本ルールをさらに面白くするのが拡張ルールです。

今回は実際にトランプの大富豪を使用し、通常のシンプルなルールと拡張ルールを比較します。最初は、基本のルールで数回プレイして、次に拡張ルールを取り入れて数回プレイすると、拡張ルールを入れることでだいぶ遊びの感じが変わってくるというのを各チーム体験していました。

※下記はあくまでも本ワークショップ内での扱いです。
大富豪(大貧民)については各地・各家庭にある様々な拡張ルールや独自ルールで遊ばれているものなので、末広氏「みなさまの知っている大富豪の遊び方とは違うかもしれません。だけど、今回は遊び味(体験)の変化を見るために、一旦やり方を統一して遊んでみましょう」とのこと。



◆大富豪の基本ルール
・ペア(複数出し)
・階段(同じ柄で3枚以上)
・革命(ペアOR会談で4枚以上)
・貢物(大富豪2枚/富豪1枚)

◆拡張ルール
8切り:
8を出すと強制的に場が流れて、8を出した人が新たにカードを出すことができる
上がり札禁止:
ジョーカー、2(通常時)、3(革命時)などで上がってはいけない
都落ち:
前回大富豪だった人が1位になれなかった際に、強制的に大貧民になる
などなど
 

 

基本ルールでは大富豪&単純に強いカードを持っている人が勝利しやすくなります。しかし拡張ルールを導入することで、強いカードを持っていれば勝てるといった安定を壊し、強いカードだけでは勝ちにくくなり、ハラハラドキドキ感、また弱いカードでも勝つことができるチャンスを生み出します。どっちが面白いか一目瞭然ですね!拡張ルールを導入した方がゲームに緊張感が出て面白くなります。

実際のゲームデザインはもっと複雑で奥が深い部分ですが、基本としてはこんなところ。
ルール自体の変化としては「役割を持っていなかったカードに役割を与える」「特定の状況で何かの行動を取ることができるようになる」というほんの少しのことですが、ちょっとの変更で遊んだ体感が変わることを確認していきます。

ゲームデザインのバランスや面白さを体感したところで、自分たちでもオリジナルの大富豪の拡張ルールを考案します!
 

▲バランスを調整するためにルールを調整しながら、何度もプレイしています。

中でもインパクトの強かったオリジナルルールはこちら!
 
 
クイーンヒステリー

8切りをQで阻止するルール。8を出された時にQを出すと、かんしゃくを起こした女王様の力によって8切りを阻止することができます。

8切りを阻止することができれば面白くなると考え、役割のないカードの中から8を止めるカードを設定。
Qを選んだ理由は名前のインパクトと、それ以上のカードだと強すぎるためバランスを考慮しQにしたそうです。

タイトルのインパクトも、拡張ルール自体もわかりやすく、ちょっとローカルルールに取り入れたいですね!

こんな風に少しだけルールを変更するだけで面白くもなり、つまらなくなってしまうのがゲーム。アナログゲームの場合、ほんの少しの工夫ですぐに気軽にルールを追加したり、場合によっては外すこともできるということもあり、「2日間のゲームジャムの中で、チーム内で意見が割れたり、迷ったら実際にテストプレイをして」というところが強調されていました。
 

実際にオリジナルのアナログゲームを制作開始!

1日目の午前中にワークショップの実技部分は終了。昼食を経ていよいよここから本題のアナログゲームの作成に入ります。

今回お題はこちら

【みんなで繰り返し遊べるゲーム】

1)みんなで=複数人
2)繰り返し遊べる=出落ちやインパクトでだけ押すのではなく、ルールとして成立して何度か遊べるもの


加えて、

・「目安として5分程度、長くても15分位で終るように」
・「意見の相違があったらとにかくテストプレイをする」
・「迷ったら要素をコンパクトにしてから追加していく」


これらがワークショップの最後に制作のヒントとして付け足されていました。2日目で完成させることを考慮して、あまり壮大になりすぎないようにするということや、アナログゲームの利点である「比較的その場ですぐ試せる(デジタルゲームの場合技術検証などが必要になったりもするので)」ことも活かしてもらい、新卒社員自身の手で可能な限りの実践をして確認してもらう意図とのこと。

各班、テーマに沿ってまずはどんなゲームを作っていくか真剣に話し合います。
 

 
▲壁にポストイットをつけたりしながら話し合うチームも!

1時間半後企画の発表!
 
 
▲発表の風景

企画中にはこんな案も・・・
 

美少女に扮したGM(女性とは言っていない)を口説くゲーム!

ゲームマスターである美少女の情報カードとプレゼント用のカード駆使して、美少女を口説くというもの。邪魔する配役があったり、美少女の好みを予想したりと企画を聞いているだけですでにとても面白そう!

他にも、各班ごとにファンタジー風カードバトルの企画あり、厳密な数字のぶつかり合い以外のところで会話を楽しみながらお題に沿った提案をしていくタイプのゲームありと、参加した5チームともそれぞれ個性的な企画が登場しました。
 

2日目以降、実際の完成まで

1日目を終えたところで、だいたい4時間位制作に時間を費やしていますが、半分くらいのチームがゲームのおおよそのルールを固め、テストプレイまで終えたところで終了。1日目の終わりには、各チームとも翌日のコンポーネント制作に使いそうな模造紙や、カード、色ペンなどを買い出しに行って終了。

2日めには各チームとも徐々に実際のコンポーネント制作に入っていくことになります。

▲机の上が大変なことになっているが、手札らしきものが見える。

こんなカオス状態も、しばらく制作が進んでいくと徐々に各チームともカードや盤面の形が見えてくることになり、2日目の16時のプレゼンタイムを迎えた頃には各チームとも無事ゲームが完成した状態となりました!


チームA「ベストロ​」
ゲーム概要:プレイヤーは料理人となって、やってくるお客さんに扮したGMの出すオーダー(お題)に応えるメニューを作ることが目的。ただし、オーダーは、その時自分が引いたカードに記されたひらがなで始まる文字を使った食材を時間制限20秒以内に答えて、答えた内容で調理しなくてはいけません。
 

▲Aチームのイメージ画像。製作中のカード画像が見える。

例)お客「サンドイッチが食べたい」
プレイヤー「引いたカードが 『め』『た』だった」→思いつくめから始まる食材とたから始まる食材を制限時間内に伝えてお客さんにいかにこのメニューが美味しいかプレゼンしなくては行けません。

この例だと、「めだまやき」や「タラモ」だったら素直に美味しそうですが、うっかり「メザシ」とか「たけのこ」なんて答えてしまうとだいぶ厳しいサンドイッチが出来上がることに……「何を思ってそれを選んだ?!」というやり取りも含めて楽しむタイプのゲーム。自分の発言内容によってはメチャクチャな内容のプレゼンを強いられるが、それもまた一興と楽しもう。


チームB「先駆け魔物退治
ゲーム概要:伝説の勇者となって、武器・防具、仲間を手札で引いて装備を整え、自分の攻撃力を蓄えた状態で魔物カードを引いて勝負をかけるゲーム。
武器・防具、仲間カードには「ひのきのぼう」的な弱いアイテムから「伝説の剣」や特殊な能力を盛った仲間まで様々なばらつきがあり、魔物カードも同様に強い魔物からザコまで含まれているのでドコでイチ抜けするかがキモとなる。
誰かが魔物との戦闘を宣言した時にも、カットインできたりもするので「あいつが行くなら俺が先に上る!」という駆け引きも楽しめる。戦力をためすぎた挙句、ザコに伝説の剣を振り下ろすことになったり、読み違えて魔王級の魔物に紙装備で突っ込むことになったりもする。
「いつ戦いに打って出るか」がキーになるが、手持の仲間カードには素早さのパラメーターがあるので、他のプレイヤーの宣言の際、素早い仲間がいればカットインすることもできる。文字通り「美味しいところをさらう」のか? それとも魔物の強さを見くびって爆死するか?

▲実際のプレゼンの際には、こんな具合に各テーブルに集まってもらってデモプレイを見ていく。


チームC「青春クラッシュ​」
ゲーム概要:美少女に扮したGMを、チャラ男、ビジネスマン、老人、ショタ、外人というアクの強い男性になりきってくどくゲーム。美少女の好みのプレゼントを手札として集め、得点をMAXにした状態で告白して上がることが目的。
このゲームもチームAと同様、各キャラクターになりきって振る舞ってプレイしていくため、性別やもともとの性格のキャラを超えたロールプレイが発生するところも面白さの一つ。
また、美少女の要求する手札も何種類かあるため、プレイヤー同士でロールプレイを徹底した状態で「外人になりきったプレイヤーがたどたどしいカタカナ英語で、ややボゲ気味の老人プレイヤーのリアクションに翻弄されながら彼女へのプレゼントを交換要求する」などカオス展開も。
GM役の美少女が進行する際に、アクションカードで行動を指定され、「告白を急かされる」こともあるので、悠長に男同士の会話を楽しんでいると、場合によっては突然のタイミングで今「ここで告白して!!」と迫られることも。
 

▲様々な種類の手札があり、美少女の好みのグッズを集めていく必要がある。


チームD「借金先の金持ちの道楽のせいで俺たちの関係が修羅場すぎるっ?」
ゲーム概要:プレイヤーは炭鉱の持ち主……と言うのは名ばかり、借金を背負った状態でそれぞれの炭鉱に放り込まれて、借金解消のためそれぞれ自分の炭鉱からダイヤモンドを発掘し資産を蓄えて最終的に一番裕福な状態で上がりを迎えることを目的としたゲーム。
どうも、鉱山のオーナーの道楽で鉱山堀り自体が賭博的な設定になっているようだ。
採掘(山札からカードをもらう)、見学(誰かの炭鉱=カードを確認する)、災害(各プレイヤーの手持のカードを全て集めてシャッフルし、強制的に引き直させる)というアクションが行えるが、これらのアクションのお陰で山札から発掘されたダイヤは各プレイヤーの手の中を転々とすることになる。
「あいつが今持っていると思うから俺は災害を起こす!」「おいやめろ」
そんな繰り返しで高額資産であるダイヤはプレイヤーたちの間を転々と……!
ある程度相手の手持を予測する必要もあるが、同時に常にある程度運の要素に支配されることになるので、終盤までそれなりに逆転の可能性がある作りになっている。

 

▲テンポよく遊べる仕組みに落とすためにぎりぎりまでテストプレイを重ねた。


チームE「ハインダー」
ゲーム概要:農民、賭博師、武士、狩人など幾つかの職業カードをプレイヤーごとに2枚ずつ配られ、職業カードを伏せた状態でお互いを時として騙し合い、または正しい職業を名乗るなどして撹乱しながら資産を増やしていくタイプのゲーム。
チームDのゲームとにてもいるが、違うところとしてはより「嘘をつく内容とタイミング」の要素が大きいところ。各職業カードは枚数が決まっているが、その場にいる全員が嘘つきだったりすると全員が農民を名乗り始めたり、明らかに枚数を超えて職業を名乗る人間が出てくるが、それをうまく見抜き、「ハインダー!」と相手の嘘を指摘していく。
嘘が2回バレ、2つの職業カードが両方とも嘘だと見破られたとき敗退して終了か、またはターン終了時に持っている資産の量で決着となる。
職業ごとに得られる効果や資産の量が違うので、何を名乗るか、また一緒にプレイする人間の性格次第でどうプレイするかの安全度が変わってくるので、ゲームの設計としては非常にシンプルながら運の要素も適度に入っており、たとえ1位になれなくても、他のプレイヤーにちょっかいを出してみたりと最後までプレイに絡み続けることはできる。

▲人事の方も交えたテストプレイの時の様子。この時はまだコンポーネント(カード類)ができていなかったが、最終的には自分たちで取説まで仕上げてきていた。
 

懇親会、順位発表

最後に、全員でお互いのゲームを実際にプレイする時間を取り、全ゲームをそれぞれ遊んだ上で、投票。投票には各社研修の立会に来ていた人事・総務担当者や、過去の参加者の姿も!

実際に自分たち自身も過去参加して成功も失敗も経験している先輩たちも、自社の新卒社員の活躍を見てホッとしたのではないでしょうか。

最後は懇親会で乾杯し、投票順位の公開。
その結果、めでたくチームE、ハインダーが投票の結果1位になりました! チームEのみなさま、おめでとうございます!
また、今回投票結果を開封した際、バンダイナムコスタジオ社の人事担当である樺島氏からのコメントによると、「2位以下はどのチームも僅差だった」とのこと。
実際、試遊の様子を見る限りでも各チームのテープルとも大いに盛り上がり、いい具合にムキになったり、夢中になる参加者も多かった様子です。

ゲームジャムは2日間の短い期間、製作時間としてもトータル10時間前後でしたが、チームの自分たちの力で完結まで持っていき、その場で試行錯誤し、修正し、直接その場にいるプレイヤーからフィードバックを受けられる環境でたくさんの学びがあったようです。
懇親会の時間になっても、各社の垣根を超え、好きなゲームの話や趣味の話で盛り上がるかたわらで、あれをこうしよう、もっとこうしてみても良かった?俺って意見言い過ぎたかな?いやいや俺も俺もとゲーム制作の話は尽きないのでした。

実際の業務に入ってしまうと、業務優先がもちろんなのでなかなかこうした会社を超えた取り組みはしづらくなってはしまうのですが、一部だけテストプレイや取材に参加させてもらい、ソフトウェア開発を伴うゲームだと体感しづらい「直接の対面でのユーザーのレスポンス」や、「限られた時間内でチームとしてどう取り組むかを、ディレクターだけに限らずチーム全員が考え、その場でできることをやること」などなど、多くの収穫があった2日間でした!
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