ゲームを作る上で必ず必要となってくるのがプログラム。「ゲームの会社で働きたいけれどプログラムを勉強したことがないから不安」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回はゲーム業界に就職する上で、プログラムスキルが求められる職種についてご紹介します。
デザイナーとプランナーにもプログラムスキルは必要?
まずはデザイナーに関して言えば、
プログラムの知識がないと就職できないといったことはありません。ただ、就職先が小さな会社である場合や、チーム人数が少ない場合など、会社によっては他の職種の人と連携しながら仕事をしていく必要が出てきます。最初は知識がなくても大丈夫かもしれませんが、後々のことを考えればより良い状態でゲームを作るため、チームのプログラマーの方や他業種の方が何と言っているかを理解するために、プログラムを知っておくことはプラスになります。
ただし、
いきなりプログラムそのものを勉強するより、先にゲームエンジン(後述)に触れておいた方が良いと考えます。
例えば、3Dでいえば作成した3Dモデルをゲーム内に組み込んだ際に見た目が大幅に変わったり、サイズがとても小さかったり、空間座標軸が違ったり、「表示して当たり前のように動かして見せる」にも色々な細かい設定が必要になってきます。そういうときにゲームエンジンを使って素材を作った後、ゲーム中で動かしたり表示するところまで経験していると、仕事にしていく際のやり取りや、今後習得しておいた方がいい技術的なことのイメージも把握しやすいでしょう。
そして、
プランナーを志望している方はできればプログラムを、またプログラムそのものが難しい場合、
最低限何かしらゲームエンジンを実際に触って作品を作っておきましょう。しっかりとした企画を書くには、プログラムやゲームを動かすためには何を決めておくべきか、プログラムで制御しているゲームの構造や仕組みを理解しておく必要があります。このあたりの仕組みをプランナーが理解していれば、プログラマーとの連携も上手く取ることができます。
大学等ではまだゲーム開発に特化した授業を行っている学校は多くはありませんが、専門学校に通っている学生の方の場合、授業の一部でプログラムまたはこれらのゲームエンジンを勉強しているプランナー志望の方がほとんどです。
この
ゲームエンジン・プログラムに触れることでエンジンやプログラム自体以上に、ゲームを動かすための構造を学ぶことが大事です。
【解説 ゲームエンジンって何?】
ゲームを動かすには絵や3D、音声やプログラムなどの要素が必要になりますが、全く何もベースがない状態からゲームの形になるようにそれらを組み合わせて動かすのは大変です。 ゲーム画面に3Dモデルを表示したいと思っても、素の状態では「3Dを表示する仕組み」自体がないので、本当に最初にプログラムが何もなければ、そこから作ることになります。
もちろん、今でもそういう作り方をするゲームがないわけではありませんが、ゲームの開発を便利にするために開発の機能をひとまとまりにした「ゲームエンジン」と呼ばれるツールがあります。 代表例としてUnity、Unreal Engine、Cocos2d-xなどがあり、それぞれ3Dを扱うのが得意だったり2Dに特化していたり、ゲーム開発以外に映像や建築、自動車開発など様々な産業で使われているものもあります。
プロ利用は有償のものがほとんどですが、個人利用が無料からできるものも多いので、将来ゲームをお仕事にしていきたいという方はぜひ触ってみることをお勧めします。
映画が好きな方であれば、アニメ映画や3Dを使った特殊効果などを使った作品では大体エンドロールの最後のほうに使用しているゲームエンジンのロゴが出てきたりもします。興味がある方はよく見ておくとよいでしょう。 こういうツールがどう使われているか調べてみるのも、技術の勉強になります。
ゲームの作りに対する理解が全くない場合、選考段階で不合格となってしまうことことも考えられます。どの程度厳しく見るかは会社次第ですが、プログラムを書けるまでのレベルには達しなくても大丈夫なので、UnityやUnrealなどのゲームエンジンを触り、仕組みを把握しておきましょう。
よくある例として、企画書だけ書いて、自分で作ることを経験したことのないプランナー志望の方は「バトルで強い魔法の攻撃をする」までは決められますが、攻撃順序、防御力や回避の判定はどういう条件で決まるかなど、おざなりな状態でプログラマーに相談をしに行くことになります。これは現場で毎回起きるととても大変です。
この判定条件や処理方法、その際のゲーム内でどんな演出や画面表現を行うかをひっくるめて「仕様」といいますが、仕様をかけるようになるにはプログラム的な構造の理解や発想がある程度できている必要があります。
以上のような理由から、プランナー職志望であれば最低限ゲームエンジンを触り、機能を理解し、何ができて何ができないか、どこまではプランナーが考えておかないといけない部分(仕様として自分が責任を持つべき部分)なのか知っておくことが非常に大事です。
プログラム未経験でもゲームプログラマーになれる?
プログラムを勉強したことがないにも関わらずゲームプログラマーとして採用されるケースはほぼありません。ゲーム以外のIT企業の場合であれば、社内の教育体制などによってはプログラマーを未経験採用していることもありますが、ゲーム業界では未経験の人にプログラムを教える環境自体が整っていないことがほとんどです。
あわせて、大体の企業への応募時に作品提出が必須です。応募者の多くがきちんと動作し、作品として完結しているゲームを送ってきていることから、
明らかに基礎の学習が足りていない場合などは選考に落ちてしまう可能性が高いと考えます。作品提出を必須としてない場合でも、実際に先行目的のインターンで理解度を見たり、何らかの方法で技量を図ってみたりして、選考することがほとんどです。
また、ゲームのプログラマーを目指しているのならば、非常に便利ではありますが
ゲームエンジンだけではなく、プログラムの勉強をしっかりとやっておくことも大切です。デザイナーやプランナーに関してはゲームエンジンでひとまずのゲームの制御の仕組みを知ってもらうところが大事ですが、プログラマーの場合、ゲームエンジンの知識以上にプログラムそのものを書く能力も問われます。
スキルゼロの状態で目指すのではなく、専門学校に通ったり独学でプログラムを勉強し、プログラムを書けるようになってからゲーム業界への応募を検討するようにしましょう。
プログラムに加え、ゲームエンジンの知識はゲーム業界で働く上で必ず役に立つものです。個人利用であれば無料のツールや学習資料も各公式サイトに掲載されていることも多く、勉強して損をすることは決してないので、是非今からでも学んでみてはいかがでしょうか。