こんにちは、編集部公式居候のミツヅノです。
UE4シリーズの取材を続けていくうちに、「もうそろそろ専用スペースがほしいな」とゴネたところ、開発や運営の小ネタや、通常のゲーム内容の紹介以外のところの取材ネタなどのためにコーナー化に成功しました。
そんなわけで、「ゲーム開発運営の小部屋」コーナー出張取材として今回は産学共同プロジェクトとしてアミューズメントメディア総合学院で行われている「Unrealチャレンジ!」でのUnrealEngine4(以下UE4)を使ったゲーム開発の様子をお伝えする。
UE4についての詳しい記事はこちら→
[取材]君もゲーム開発にチャレンジしないか?【7/18(祝)】出張ヒストリア! UE4東京勉強会 に行ってきた!
▲東京の恵比寿に拠点を構える、ゲーム、CG、アニメ、イラスト、漫画、小説、声優などの業界で活躍するクリエイター・アーティストを実践的に育成する学校、
アミューズメントメディア総合学院!
目次
「Unrealチャレンジ!とは?」
まず、
「Unrealチャレンジ!」とは、アミューズメントメディア総合学院で行われている、
Unreal Engine4を使って学生数人の開発チームが商用ゲームを開発するプロジェクトであり、最新のゲーム開発をリアルに学ぶ教育カリキュラムである。
昨年度の様子はこちら→
大ヒットゲームにも採用されたUnreal Engineを使用して在学生だけで市販ゲームを制作中
▲本プロジェクト監修、
ヒストリア代表佐々木氏
もともと、冒頭にご紹介していたUE4の専門会社である株式会社ヒストリアの佐々木瞬代表がアミューズメントメディア総合学院の卒業生であったことから、実現したという。
実際にチャレンジする側の気持ちとしては、実際にUE4を駆使して業界を渡っている先輩のサポートもあり、こんなに心強いこともないだろうと思うが、この
プロジェクトの目指す目標は「海外に通用する市販ゲームを作ること」だ。
販売のプラットフォームはPCを想定しているというが、よくある専門学校の授業で「企画書にマーケティングプランを書いてみる」「企画書に課金方法を書いてみる」から何歩も踏み込んで
「つくったものを実際に売るところまでやってみる」というところまで踏み込んだプロジェクトとなっている。
そんな
「Unrealチャレンジ!」の開発は4月からはじまっており、
8月某日、およそ開始から3ヶ月ほど経過した時点の制作内容を中間発表として、取材兼講評役のひとりで参加させていただき、実際の様子を見てくることが出来た。
▲緊張した表情の参加チーム。
次の項目から、早速アミューズメントメディア総合学院のプロジェクト参加者の学生達による発表内容を見ていきたいと思う。
「カニマンVSメカモンキー」
▲チーム「KANI-MEN」
今回は2チームで、全くそれぞれテイストの違うゲームが発表された。
先行で発表してくれた
4人(プログラマー3人、企画1人)のチームでは
昔話の「さるかに合戦」をベースにした世界設定で、蟹であるところの「カニマン」を主人公としたスタイリッシュアクション、名づけて
「カニマンVSメカモンキー」を発表。
おとぎ話だと柿の木を猿に奪われたカニは臼、ハチ、栗とともに柿を独り占めする悪い猿を懲らしめるのだが、今回の
カニマンは単身ロボットの猿に挑んでいく。
木のステージ上(盤上)から叩き落とされないように、時には避け、時には相手を薙ぎ払って戦う。
▲中央で爪を振るっているのがカニマンだ。
姿はカニだが、横歩き以外にもちゃんと前後左右に歩き、ジャンプしたりもできる。
▲ステージにもよるが、開始時からロボ猿はワラワラしている!!
ロボ猿軍団(メカモンキー)たちは集団で柿の木を占拠しているが、対するカニマンは一人。
途中、圧倒的な数のロボ猿が出て来て囲まれることも多々ある。
その猿たちの数の暴力(?)を闘いぬくためには、
必殺技やステージギミックを駆使して時には華麗に舞いつつ、時には大胆に爆破をしかけるなどして柿の木を奪還するアクションが展開する。
▲この時点ではモデリングが完成していないようだが、ステージ内の仕掛けを押すと爆弾が。
▲このオレンジのマーカー上に爆弾が降ってくるので、敵をいい感じにちらしておいて一網打尽にしたり…
▲同じギミックでもこっちは当たると一定期間動けなくなるレーザー。避けろ!
この盤上、想定では「(おとぎ話でうばわれた)柿の木の上で戦っている」ようだ。
このゲームの場合、HP敵味方ともに設けていないので、
とにかくルールはシンプル。この盤面上から相手を地上に突き落とし、敵を一層していくことでWAVEが進んでいく。
発表中もなかなか機敏にロボ猿たちが攻めてくるので、発表してくれた担当氏が説明に夢中になるあまり避けそこなってしまい、
ふっとばされたカニマンが奈落へと落ちていく姿も見られたりした。そんな多少の緊張感があることで、アクティブに操作して攻めていくのが楽しい作りのゲームになっているようだ。
カニマンの攻撃方法はカニの爪を振るうことで相手にパンチを入れ、その際の
ノックバックで相手を突き落とすのだが、この段階でも通常攻撃を何度か繰り返すことでパワーゲージをため、相手へのノックバック範囲を大きくする
タメ攻撃などが実装されていた。
また、
必殺技ゲージを貯めることで必殺技を衝撃波として放ち、ノックバックとは別に複数体の敵をまとめて突き落とすなどの攻撃技も実装されている。
おおよそ説明とゲーム画面でWAVE制アクションとしての概要は伝わっていたが、今回は中間発表のため1ステージ目と3ステージ目だけの公開となったため、
戦闘バランスや難易度のチューニングはこの後実施予定のようだ。
製作をしているチームの課題としては、まだまだアクションの気持ちよさに対するこだわりの部分を作りきれてない思いがあるようで、カメラの角度を変えたものも用意して試遊に備えているようだった。
更に、今後グラフィックもブラッシュアップを行う予定だというが、ギミックを世界観に合わせるため爆弾を焼き栗に変更する、モーションもより猿らしい動きにするなど、
まだ荒削りな部分の細かな部分の修正はこれから着手していくのだという。
さて、そんな全体の発表を終えて参加した講評者による各人からの講評がはいったわけだが、講評者の顔ぶれもご紹介していこう。
出張ヒストリア!のシリーズでもお馴染みの
UE4、Unreal Engine の開発元である Epic Games の日本コミュニティマネージャーの今井氏。
インディゲームやPCゲームなどの配信をしている
「Playism」をサービスしている、アクティブゲーミングメディア社の開発プロデューサーであるワット・エドワード・ダグラス氏、および事業開発マネジャーの中西一彦氏。
GAGEX社のリリースしている
「昭和駄菓子屋シリーズ」の開発担当、自社で「100万匹の羊」をリリースしている
2DFantasista代表 渡辺雅央氏。
+当編集部ライター ミツヅノ、こと
株式会社シフォン代表取締役副社長 末広幸子が講評に当たらせてもらっていた。
▲ Epic Games Japan 今井翔太氏(手前)。
▲アクティブゲーミングメディア社のワット・エドワード・ダグラス氏(左)。
▲2DFantasista代表 渡辺雅央氏(中央)。
さて、さまざまな開発経験もあるメンバーからの講評はさすがに
「売る」ことを想定したプロジェクトであるだけにシビアだが、愛情の深いものであったと思う。
実際にゲーム業界に就職したあとに問われるのはもちろん
ゲームの面白さや完成度も大事なポイントではあるのだが、それらを作っていく際に、
「客観的に商品としてみた時にちゃんとお客さんがお金を払ってもいいと思える」条件を満たしているかどうかを考えて作ることも重要な点であろう。
ワット氏からは、早速
「このゲームはなんステージのものをどういうプラットフォームで売るつもりなのか?」という指摘も飛ぶ。
制作チームは環境は
PCメイン、アーケードゲームのように1コイン単位で売っていくことを想定していたようだが、実際に売るということは
売れるには値段に見合った内容や構造になっていないと、人に買ってもらえないということだ。
このゲームの場合、アクションが遊びの主体であり、ゲーム性自体がシナリオ進行があって1本で完結するタイプではなく、ステージ単位で遊び込んでいくものなので、売り方としてはまあ(構造上は)問題はない。だが、問題は
お金を払うには遊びがいを提供しなくてはいけないということだ。
さらに、本来だと「繰り返し遊ぶ」ようにも作らないといけない。
そのため、更に他の講評者からも同様の指摘もあったのだが、ワット氏から続けて世界観やカメラもだが、現状のゲームの状況だと
「アクションゲームが上手な人が遊んだらすぐ終わってしまう、プレイスキルの高い人にはゲーム全体が単調である」ことを指摘し、他のゲームも参考にしてバランス調整や、必殺技の種類を増やしたり遊びの奥行きを作る部分に注意を払うべきだというフィードバックも行われていた。
今井氏からも、これからブラッシュアップ予定のところではあると思われるが、「UE4の得意とする領域でもあるので、PC向けであればグラフィックにこだわると良い」と、リッチな表現にも強いUE4であるからこそ若干物足りなさがあったようではある。
また、渡辺氏からの指摘も非常に厳しいものではあった。
掛けている時間に対して出てきているアウトプットが
「この時間(をかけて)でこれはヤバイでしょ」と割りと直接的な表現での指摘をしていたところが印象に残った。
もっと焦って、というよりも学ぶ側にいる制作チームに対して、自分たちのゲームに対して必死になることの姿勢の部分を伝える意図があったものだと思うが、スタリッシュアクションと言われているものの、現状のゲームでは
「メタルギアみたいな華麗な動きがあるならそれはもっと詰めたほうがいい、スタリッシュさをカニで表現したらもっと面白くなる」と、ゲームの必殺技などもただ実装されているだけではなく、
らしさの部分に対してきちんと仕様を詰めていくところの真摯さをフィードバックしていた。
その他にも、
ユーザーに対してストレスとなるようなギミック部分についても厳しい指摘がでていた。
現時点では爆弾やレーザーの停止、次ステージへの導線のための発動ギミックはゲーム内において区別がないのだ。全て同じ色や形を(ボタンの仮素材での配置とはいえ)してしまっているので、
「この色のボタンは爆弾」または「~~のタイミングで踏めばOK」のようなユーザーの学習を許さないのだ。
コレはこのままで行くと結構ツライものが確かにある。
あと少しで次のステージに行ける……と思ったところで
ギミックは当てずっぽに踏む以外にない。
アクションゲームというものは、基本的にはユーザースキルを磨きに磨いて自分のプレイスキルでクリアをしていくタイプのゲームだ。その時点まで鍛錬に鍛錬を重ねてノーミスで進んでいたのに、誤ったボタンを踏んだだけで何らかのペナルティが発生したとしたら非常に理不尽ではないだろうか。
全体が運や駆け引きで左右されるような賭け事に近いタイプのゲームであれば、伸るか反るかのヒリヒリした勝負を楽しめると思うが、
アクションゲームの場合、ギミックのボタンというのは単なる通過点であるので、こういう趣旨の指摘があったのだろう。
通常の専門学校の学内講評の場合だと、割りと講評者側に遠慮があったりするケースも多いが、
いずれの講評者も「売る苦労」を理解しているからこそ、注意すべきポイントを率直に制作チームに伝えていたと思う。
このフィードバックだけを見ると「じゃあつまらないのかな」と思ってしまう読者もいるかもしれないが、ここは誤解をしないで欲しいポイントとして、
いずれのゲームも開発期間中はこういった試行錯誤が発生するものなのだ。
経験が増してくると、世の中に出る前に自分たちで先に気づいて直していくものではあるのだが、難易度の調整などは一部プロになっても、むしろ
作り手になるからこそ何度も繰り返し自分のゲームを遊ぶことで感覚が麻痺する部分ではあるので、リリース前に第三者からの評価やデバッグ・QAというような部分でゲームを客観的にテストして、
普通のユーザーの感覚でゲームに対するアプローチ方法を考えなおす時間というのが必ず必要になるのだ。
「Rainbow step」
▲チーム「七色ステップ」
続けて、
チーム「七色ステップ」による、「Rainbow step」を見ていこう。
こちらは先ほどの「カニマン」制作チームとは打って変わって10人の大所帯だ。デザイナーが複数名参加しているので、舞台も切り替わりながら進んでいく作りになっているようだ。
ゲーム自体は昨年の学内のチーム制作ですでに原案はあったようだが、今回
Unrealチャレンジ!に参加するにあたって企画の方向性から全て練り直したとのこと。
▲旧作の方の「Rainbow Step」
こちらは雨雲をテンポよく集めていくゲーム。
▲雲の回収量で晴れ間が51.66%と表示されている。
背後に雷様的な悪魔が!
さて、今回
「Rainbow Step」の名のとおり、このゲームではプレイヤーは一人のてるてる坊主のようなキャラクターとなり、
虹に乗りながら世界から雨雲を消していき、すべての世界を晴れにするという筋書きになっている。
▲中央のてるてる坊主風のキャラが自分の操作キャラだ。
「何故か降り止まない雨が、世界に洪水をもたらし、文明を滅ぼした。
降り止まない雨を晴らす手掛かりを探して、主人公は旅立つことになる。」
これが旅立ちの由来だという。
平和そうな草木や花の茂る世界と相反して、だいぶ出だしがハードな感じになってしまっているのだが、ゲームの画面を見る限りは
色彩や風景にこだわってギミックやステージ(フィールド)を作っていることが見て取れた。
さて、ゲームを見ていくと最初から結構広いステージに連れだされるのだが、人は死んでしまっているので世界にはガイドNPCみたいなものはなく、
ひたすら風景と自分だけの世界が広がっている。
「人は滅びた」後なので、遊具のあとなどの人間(?)が居た形跡とみられるものや、石碑などのモニュメントは残っているのだが、「今現在も生きて利用されている」設備はなく、当然人の気配もないので(ゲーム的に排除してあるので)独特のひっそり感を演出しようとしているようだった。
ゲーム内を歩きまわっていくと、
灯籠や石碑、動かせる岩などのギミックがあり、そこに対しておそらく魔法だと思われるが
操作をすることで世界が開けていく作りになっている。
世界が開けると、通れなかった場所に道ができたり、通行止めになっていたエリアに移動可能になっていくのだ。
▲おぼろげに見える謎の巨大鯨。
▲森のなか以外にも和風のエリアも。
制作チームは説明時に
「自分が世界に干渉していくことで、少しずつ周りを変えていく」という表現をしていたが、ゲームとしてはカニマンとは真逆の作りになっており、
動と静、という表現がふさわしいだろう。
基本的には主人公はそれ自体がわかりやすく
敵を燃やしたり凍らせたりして倒したり、雲を嵐を起こしてなぎ払うような乱暴な世界への関わり方や魔法を持っているわけではない。
ギミックを媒介することによって、少しづつ世界から雲を追い払い、ステージとステージドの間に虹をかけたり、ギミックでみちを開いていくというささやかな魔法で世界が少しずつ変わっていく。
歩きまわり、世界にある
小さな人間の痕跡を見つめたり、干渉していったりすることにほのかな喜びを感じていくタイプのゲームだが、今回は説明で予め各ステージには7色の虹の色をベースにしていたりもすることが伝えられてしまっていたが、本来だとその辺りも
「徐々に知っていく」と小さな発見が喜びにつながるであろうポイントであろう。
また、最終ステージは幻想的な黄色と紫の夜空のような宇宙のような不思議な場所に連れて行かれるが、そこが魔法使いの故郷だという。
▲クラゲや鯨が漂う幻想溢れる雲のステージ。
当日指摘はしそびれてしまったのだが、筆者としては「世界が晴れ渡っただけだと元の干ばつの世界に戻ってしまうのでは?」という懸念があり、物語的に
最後のところで救いが何かしら描かれていると晴天とともに気持ちの良いエンディングになるのではと想像するところでもある。
制作チームの課題としては、エンディングや途中途中で演出のためのムービーを入れたり、まだまだ道が開けていく際の演出であったりも虹が出る以外の部分を作りこんでいきたいという課題を抱えているということだったが、3Dモデルもアニメーション、エフェクトの部分まで入れてデザインのボリュームが流石に大きいなという印象であった。
さて、講評であるが今回は筆者からも幾つか指摘をさせてもらった箇所があった。
後にワット氏や渡辺氏からも同様の点の指摘があったところなのだが、このタイプのゲームは今回の講評者がいずれも見てきた
「風ノ旅ビト(原題:JOURNEY)」に類似する点が多々あるので講評者側にも力が入っていたようだった。
明確に勝敗や、解決、がない
「ほのかな喜びを追うもの、発見してくタイプ」のゲームは制作するときに、作り物であるゲームの中の世界をどれだけきちんと作りこめるかが開発者側の勝負になるので、UE4もだが、ゲーム開発自体かなりハードルの高いチャレンジだといえる。
エフェクトや操作時のゲーム側の反応をうまく表現できないことで、
本来ドラマチックであるはずの世界の変化が全くの無音であることで締りのないものになってしまっていたり、途中で洞窟のエリアの移動する際に画面があまりにも暗く、進んでいい方向の手がかりが見えない状態になってしまっていたため、
迷子になってしまう危険があるのではと感じられたからだ。
逆に言えば、これらのところで
少しでもSEやエフェクトでの演出が配慮されていれば、ムービーを入れるまでのことをしなくても、同じような開発期間であったとしても、ぐっと画面が締まってドラマチックに出来たはずだ。
本文でも触れているが、1つ1つのステージは割と広い。
その状態で迷わず手がかりがわかるようにしてやらないと、迷子になった時間やそのために行った操作が無駄だったというネガティブな印象だけが先行してしまうので、
「ここが正解」とわかるようなサインを示す必要がある。
RPGの宝箱はその先に進めない道のところにおいてあることが多いが、渡辺氏いわく迷子になった時間を無駄にさせないという意味もあるという。
ワット氏からは「大神」や「flowery」等の面影も感じられるという指摘があったが、「大好きだからこそもっとうまく作って欲しい」というエールが送られていた。
「風ノ旅ビト」含め、それらのタイトルでは、プレイヤーの目的地をカメラで誘導したりという工夫を同じ開発期間でも出来たのではないか、という指摘をしていた。
「風ノ旅ビト」等の場合は最初から目指す位置をカメラが集中して写しているので、同じように広い果てしないマップのように見えたとしても、「あの山の向こうなんだな」とプレイヤーが自然と思うのである。
他にも、今井氏からもゲームのタイプとして世界を歩き回った時の美しさや感動を考えた際に必須となる
ビジュアルの作り込みに対してであったり、ムービーを作る際に発生する物量に対してであったり、多々熱いフィードバックが続いていた。
このタイプのゲームはきちんと作り切ることができれば名作になる可能性が高いのだが、世界を作っていく事自体が難しく、また今井氏が言及しているとおり、
きちんと全部を作ろうとすると相当な製作時間が必要となる。
「JOURNEY(風ノ旅ビト)を作った会社は、めちゃくちゃ時間がかかって一回会社が途中で潰れてしまった」渡辺氏はそういう話もしていた。
現実問題として、
開発ボリュームやステージの規模を(自分たちに与えられている時間で作りきれる範囲で)きちんと設計しないと未完成になってしまう恐れもあるからだ。
ゲームは当たり前だが、完成して最後まで通して遊べないと当然だがお客さんには売れないものだ。通常の学校制作の課題であれば「完成していないけど技術的に優れている」「途中まででも出来は良い」というものも一定の評価とする場合もあるかもしれないが、ゲーム開発で食べていくことを考えると当たり前だが許されることではない。
「Unrealチャレンジ!」で目標とする「一般に売るゲームを作る」という条件をみたすためには必ずクリアすべき課題となるわけだ。
また、カニマンのところで書いているが、デバッグやQA、第三者による客観的なテストプレイというのはこういう時にも効果を発揮する。
Rainbow Stepでは今、
「ゲームとしての何をしていいのかわからなさ」の解決が必要といえる。開発チームは繰り返しのプレイで「この世界になれてしまっている」ため、違和感や腑に落ちなさには気づかなくなってしまっていっていると思われるが、そこを客観的に見て問題を確認することが大事なのだ。
プレイヤーの要望をすべてを受け入れる必要があるわけではないが、それらの
要望の中で対応しないとゲームとして成立しない部分と、残さないとゲームとして成立しない部分を自分たちで汲み取って実装していくところはプロでも手間がかかり、悩ましい部分ではあるが、ぜひ完成の際には次のステップに進んだRainbow Stepを遊ぶことができればと思っている。
次のチャレンジに向けて
チーム「KANI-MEN」もチーム「七色ステップ」も、双方とも次は
東京ゲームショウでのインディーゲームコーナー展示での完成版公開に向けて制作を続けていくとの事だった。
東京ゲームショウはビジネスデイ9/15(木)、一般9/17(土)から。
丁度この記事を公開する頃に
残り1ヶ月ほどになる計算だが、その頃に完成した両ゲームを遊べるよう、期待して待っていたいと思う。
次回完成発表編はTGS期間前後となる見込みだが、また情報がアップデートされることがあればお伝えしていきたい。
それでは次回!