ヘキサドライブより配信されている平社員ファンタジーRPG『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~』。ゲームドライブ編集部では、シナリオも担当されているディレクターの寺井氏とマネージャーの奥田氏にインタビューを行ってきました。独特な世界観をもつ『アイ経』の開発秘話からゲームのコツまで、本作の魅力をたっぷりお届けします!
本インタビューは2部に分けてお送りします。本稿は、今後の展開や本作のおすすめアイテムを中心とした後編です。
▼前半はこちら!
▽『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~』インタビュー 【前編】~開発秘話&こだわりの音楽~
▲奥田氏(左)/寺井氏(右)
インタビュイー :株式会社ヘキサドライブ
東京開発スタジオマネージャー:奥田 仁一郎氏
プランナー:寺井 瑞希氏
インタビュアー :
ゲームドライブ編集部:わこつん
制限された中から最大の表現へ
―それでは、インタビューも後半です!
見た目の部分で、ゲーム中に登場するキャラクターの動きが人形劇っぽいところも魅力の一つだと思いますが、その表現をしようとしたきっかけを教えて下さい。
寺井氏: 今回とにかく時間がないので、できるだけキャラクターイラストを描く枚数を減らしたかったという事情もありました。戦闘が2Dの今の形になるのが決まっていたので、そのままイベントもやれるようにキャラはそれぞれ一枚のイラストで表現しよう、と。
そんな発想から、ペープサート(紙人形劇)風でいきますって奥田に企画書を持っていきました。紙人形劇風でも、キャラの表情を変えたり、演出がリッチなゲームもあると思うのですが、
本作に関してはキャラ絵の差分はまったくないです。キャラクターの動きと感情表現の吹き出しで、それっぽく見せています。
奥田氏: そうですね。ウィル君のリュックの大きさ違いの絵があるだけで、あとは各キャラ一枚ずつしかない物をうまく使いまわしています。
―ゲームを遊んだ感じだと、結構キャラが揺れたり飛び跳ねたりするのもあって、そんなに絵が少ない!という印象はしませんでしたね。
寺井氏: アニメーションの動きをつけて感情表現していたり、見えないところで色々削減しています。
あと、始めはキャラクターの下に「棒」はついていませんでした。後になってから、「棒を付けよう」って話になりました。「完全にペープサート(紙人形劇)風チックにするかどうか」について、など表現方法は結構チームでもモメたのですが、
最終的にデザイナーが「絶対全部棒つきの方がいい」とこだわったため、今の形になりました。 見え方が決まったら、あとは、イベント時や戦闘時、一枚の絵でどこまで表現しきれるか、少ない作業量でどこまで「それっぽい動き」ができるか、という発想力勝負でした。結果的に、この表現方法についてはおおむね好評で、胸をなでおろしている次第です。
奥田氏: 僕は火がぼぉぉって出るのが好きなんだ。
寺井氏: 開発メンバー内では
風が一番人気 でした。
―人形劇風の見せ方をしていく中で、他にどんな工夫をされていらっしゃるんですか?
寺井氏: キャラの構造上の問題で、よく考えて動かさないと必ず棒の端っこが見えてしまったりするんですよね。
VIDEO
▲キャラの動きはPVでよく分かるだろう。
必ず足元に「棒」がついているので、そこを起点に揺らしたりしつつ動きを表現している。
寺井氏: 画面の下や横から登場させてということはできるけど、徐々にその場からフェードアウトする、みたいな事はできないので、
その限られた表現の中で「どうやる?」というのをデザイナーは考えてたみたいですね。
―そんなところも工夫されていたんですね!かなりキャラクターたちが動いている印象があって、普通にプレイしてて違和感を感じなかったので、気付けなかったです。次プレイする時は注目してみたいです。
寺井氏: 素材が少ないのとか、このインタビューでばれちゃう(笑)
キャラクターが下から上にぴょこって上がってくる動きを見た時に、「あっ、あの動きと合わせたら殴っているようにみえるかも?」と思って、その動きを見せたいがためにつくったストーリーもあります。
限られた制限だからこそ、でてきた発想だと思います。
―本作にはエンディングが存在するとのことですが、寺井さん自身のお気に入りのストーリーはありますか?
寺井氏: 序盤の森ダンジョンのクエスト
「森中心部の調査」のエピソードは一度エンディングまでクリアした後に、ちらっと覗いてみていただけるととても嬉しい です。「ああ、なるほど」と思っていただけるかもしれません。
―そうですね。お話にかかるので記事にはできないのですが、セリフの中にある一言で、キャラクター達の過去に何があったのか想像を掻き立てられます。
寺井氏: 結構そういう伏線があるお話が好きなんです。さっきお話させていただいた中で、「全部を一回に出さない」っていうところにつながるものですね。
▼ ストーリーの作り方についてはインタビュー前半のこちらから!
▽『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~』インタビュー 【前編】~開発秘話&こだわりの音楽~
お話や設定は一気に出すのではなくで、出しすぎないようにしてちょっとずつ見せていく。
それ以外にも、
ゲームの構造上、一度に出せる文字量がそんなに多くなかった のもありますね。使える時間も、表示できるウィンドウもスペースが限られている中で、少ない文字数でどうやって表現するかが勝負だったので、自然と言葉は絞られていきました。
奥田氏: 寺井は文章にこだわりがあって、改行の位置とかものずごくこだわるんですよ。 言葉の途中で変なところで改行しないようにするとか。文章をきれいに収めるために、わざと短いセリフにしたりとか。文章を見た目でぱっと見た時にスラスラと読めて違和感のない位置で改行されているっていうのを、ものすごくこだわる。
たとえば、「魔物」を魔と物で改行で分離したりとか絶対しないです。改行のないところにアイテム名が収まるようになったりしています。
寺井氏: はみ出していると、絶対これは綺麗にいれるんだって寺井さんキレます(笑)。
最後の方は0.5文字の戦いをしていました。改行するというよりセリフを一段下げたりして別のセリフにしたりとか、
改行することによって「間」を作りたいという狙いがあったりする ので、それはかなりこだわっています。
おすすめアイテム
―アイテムを投げるので沢山もっていきたいのですが、これは持っていった方がいいというおすすめのアイテムはありますか?
寺井氏: 一番おすすめなのはオイル系ですね。 コストをかなり抑えて強い攻撃ができるようになるので、オイルはできるだけ持って行っていただけるといいかなと思います。あとは
、ペンジュラムというラッキーを引き起こすアイテム があります。
ラッキーが出るかは運なんですが、これによって回復アイテムが少なくすんだりするので、こういうのを使ってみるのもありかなと思います。
※ラッキーとは?…自分の行動後に「ラッキー」が発動することがあり、発動すると敵のカウントはそのままで、もう一度行動することができます。
―使い所がわからなくて、ペンジュラムはボックスに入れっぱなしになってました。
寺井氏: 使わないタイプなんですね(笑)
私はラッキー戦法の人で、運に頼って一方的に殴る人です。
ーえっそうなんですか?オイルとか使うんじゃなく、そこであえて運なんですか?
奥田氏: ウィルのHPが1だから、うまくいかなくて魔物に殴られたら終わりだよね? それ怖くてできないじゃん。
寺井氏: 負けたら負けたでその時ですよ(笑)ずっと残りカウント1の状態でラッキー!ラッキー!ラッキー!ってペンジュラムを投げ続けて、ラッキーが発動すれば勝てる!って。
奥田氏: そんな遊び方もできるの?
寺井氏: とある方法を使うと可能ですね。装飾品とかも上手く使ってあげれば。
―どうしてもアイテムをたくさん持ちたくて、装飾品はコストが高いのでついつい置いていってしまいます。
寺井氏: 何のアイテムを持っていくかは、プレイヤーの性格がでるところだなと思っています。メンバー内にも、攻撃アイテムばかりがっつり揃えて持っていく人もいればひたすら防御系のアイテムをずらーっと揃えて持っていく人もいます。
―私も死にたくないから、防御系揃えます!
寺井氏: そこは性格なので、その人に合った形で攻略していただければと思います。私は「勝つ時は勝てる」戦法です(笑)。
―ちょっと試してみたくなりました。
―アイテムには属性の要素が入っていますが、属性の相性以外のところでモンスターを倒すコツなどありますか?
▲属性の相関図。
魔物の対抗属性のアイテムを使っていこう。
寺井氏: 魔物が襲ってくるまでの残り時間のカウントが大事なので、エネミーのカウント傾向を見て、作戦を立てることをオススメします。クエストに行く前に、クエスト選択画面から、そのクエストに登場するエネミーの一覧を見ることができ、そこでカウントの傾向を確認できるので、クエストに行く前にアイテムの準備もできますよ。
それから、毒です。
普通のRPGだと、毒なんて屁でもないって放置していると思うんですが、
このゲームは敵からのダメージも、こちらの攻撃でも、「毒」がかなり強力です。 毒によって死んだ人も多いんじゃないかと思います。
毒攻撃にしっかり対処し、かつ毒攻撃アイテムを使いこなすことで、ゲームの攻略がぐっと楽になるはずです。
―毒をもっている植物が出てくると、「あー来た」って思います!何度も死にました…。 攻撃されると絶対毒にかかるので。
寺井氏: 毒を使う植物が出てくるクエストだけ死亡率高いんですよ。RPGやっている人は毒ナメてかかっているところもあると思いますが、毒ナメてかかっていると死ぬ事になる。
こっちでは毒で致命傷を与えていくようににシステムを組んでいる ので、苦しんでいただければいいかなと(笑)
是非毒の攻略を。毒を制すれば勝てると思いますのでお願いします。
―そうなると、やはり毒消しは大事ですか?
寺井氏: 大事ですね。よく使うのでコストも1にしてあります。
―なるほど!でも、毒消しを使ってカウントを稼ぎたくないという迷いもあります。ただ、放置しておくとどんどんHPが奪われていってしまうので、ギリギリのところまで我慢してこのまま魔物を倒すか、一回毒消しを使うかは毎回判断に悩みます。
奥田氏: そうそうそう!毒にかかってムカつく!と思いながら、その後どう戦おうか駆け引きがあるんです。
寺井氏: わかります、わかります。
1カウント大きいですからね。ですが、毒ナメてかかると死ぬので(笑)そこのさじ加減がかなり難しい。
今後のアップデートといずれ新作も?
―今後のアップデートの予定を教えて下さい。
寺井氏: できるだけ早い段階で、皆様に
新しいダンジョンと、ストーリーをいくつかお届けできたらなあと思っています。
奥田氏: 会社としても自社のIPのゲームが出せたことももちろんですが、このチームのスタッフにもいい経験をさせられたと思っています。ただ経験しただけだと意味がないので、次のステップのもっといい開発ができるようなチームになってもらいたいと思っています。
そこで、本作のアップデートはアップデートとしてやってもらいつつ、次回作で新しいゲームもやってくれって話をしています。このタイトルの雰囲気を継承しているというか、関連するようなタイトルを出したいなと思っています。『アイテム代は経費で落ちない②』ではないんですけど。
ちょっと繋がりのあるようなタイトルを考えています。
―世界観がしっかり作られているので、同じ世界で違う話もつくれそうですね。
寺井氏: まだ出していない設定は沢山あるので……
設定を掘り下げて、ストーリーを展開させることは、まだまだ可能ですね。
奥田氏: どうなんですかね。ユーザーさんは、次のタイトルなのか、このタイトルの追加シナリオなのか、どっちが欲しいんですかね。
―プレイする度キャラクターに愛着が沸くので、個人的には後日談だったりとか気になります。
奥田氏: 後日談も用意するよね?
寺井氏: やります!絶賛書いてます。
奥田氏: 運営タイプのゲームじゃないので、バンバン出していくわけにもいかないですが、やっぱりプレイしていただいた方に応援もしていただいているので、
ユーザーさんに応えるようなものを出していきたい なと思っています。新キャラとかなければ寺井が書けば増やせるので、そういう面ではコストはかからないですけど、それだと面白くないので、やっぱり新しいキャラクターとか入れたいですね。
寺井氏: 名前だけ出てきたキャラクターもいると思うのでその辺とかも掘り下げていけたらなぁとは思うんですけど中々……(笑)。
奥田氏: あとはユーザーの皆さんの応援次第です。
寺井氏: 応援…!後は会社の予算次第でしょうか。世知辛い(笑)
―なんだか現実でお話を伺っているお二人も「アイテム代は経費で落ちない」らしい感じ(?)のやり取りになってきましたが、ゲームの公式ツイッターも2キャラ分アカウントがあり愛情が溢れていますね。 通常公式アカウントって1人のキャラクターで運用するのが多いのに、二人分なのは珍しいですね。
奥田氏: このゲームってストーリーが全部セリフでできているんです。
セリフだと一人でつぶやいててもぽくないんで、2アカウントで掛け合いした方が面白いんじゃないの? ってことで2つアカウントに分けてやっているんです。追加コンテンツを簡単に出せないので、それの代わりというかそこで突然追加シナリオ始まったぐらいで見といてもらえれば。
▲Twitterでは二人のやりとりを見ることができます
―次回作は、本作を踏まえて作り込みたい!という気持ちもあると思うのですが、ちょっと長めの制作期間になったりするんですが?
寺井氏: そんなに変わりないですね(笑)
奥田氏: 間が空いちゃうと忘れられちゃうから、なるべく早く出したいな。一応次のやつもすでに考えてはいて、面白そうなネタがあるんで。
寺井氏: はい、もう書き始めてはいます。こんな感じかな?みたいなのは。
―きっとすぐまた皆さまのチームが作ったもので遊べそうですね!すごい楽しみです!ユーザーとしては、制作期間が短いのは作る方は大変そうですが、続けて色々遊べそうでうれしいです。
寺井氏: 楽しみにして頂けると嬉しいです。頑張りますんで!
―本日はお時間いただきありがとうございました!
寺井氏: 奥田氏: こちらこそありがとうございました!ぜひ今後のアップデートを楽しんで下さい!
※インタビューはアプリアップデート前に行いました。
編集部まとめ
前編、後編に分けて『アイテム代は経費で落ちない~no item,no quest~』の開発者インタビューをお届けしてきましたが、いかがだったでしょか?
アイテムを投げて進むという斬新なアイデアが生まれた背景には短い制作期間というエピソードを始め、作りきった上でゲームシステムや見た目のクオリティ・面白さを最大限引き出す工夫の数々、アーティストさんによる豪華な楽曲制作まで盛り沢山な内容でした。
今回のインタビューはアップデート前に実施した内容です。既に、新しいキャラが登場する追加ダンジョンが登場しており、新しいアイテムもゲットできるので、ぜひ楽しんでください!
▼ アップデート情報はこちらから
『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~』をアップデート!新規ダンジョン追加&期間限定セール実施!魅力満載のインタビューも掲載!
今後の最新情報は公式サイトやTwitterでも随時発信していくとのことなので、チェックしてみて下さいね!
▼ 公式Twitterはこちら
・ネリネはこちら(@ikei_nerine)
・ウィルはこちら(@ikei_will)