ヘキサドライブより配信されている平社員ファンタジーRPG『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~』。ゲームドライブ編集部では、シナリオも担当されているディレクターの寺井氏とマネージャーの奥田氏にインタビューを行ってきました。独特な世界観をもつ『アイ経』の開発秘話からゲームのコツまで、本作の魅力をたっぷりお届けします!
本インタビューは2部に分けてお送りします。本稿は、開発秘話やこだわりの音楽などを中心とした前編です。後半は近日公開予定です!
▲奥田氏(左)/寺井氏(右)
インタビュイー:株式会社ヘキサドライブ
東京開発スタジオマネージャー:奥田 仁一郎氏
プランナー:寺井 瑞希氏
インタビュアー:
ゲームドライブ編集部:わこつん
『アイテム代は経費で落ちない』ってどんなゲーム?
完全無料でエンディングまで遊べ、スマホでは珍しいストーリーの終わりがあるRPGです。 このゲームの舞台は勇者が全員敗北して、いなくなってしまった世界。
RPGとくれば剣と魔法だろ?! といいたいところですが、ところがどっこい
あなたはゲームの中では「一般人(HP1。とても弱い)」もちろん、一般人なので剣なし。魔法なし。
戦うためにはアイテムを投げるしかない!
そんなアイテムを投げて魔物と戦う一風変わった世界観の本作は、登場キャラクターも曲者ばかり。やり込むほど好きになる魅力あるキャラたちと終末の世界を冒険しましょう!
ちょっと変わったRPG
―本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします。
寺井氏:今作のディレクターです。ヘキサドライブに新卒入社して三年目の若手です。今まで携わったタイトルは二本と少なく、そのうち、スマホのタイトルが一本、スクウェア・エニックスさんの『
ランページ ランド ランカーズ』です。
奥田氏:新卒でSEGAに入社してアーケードゲームに10年以上携わりました。主なタイトルは『
クレイジータクシー』『
WCCF(WORLD CLUB Champion Football )』です。
のちにヘキサドライブに入社しました。元々プログラマーで、現在は開発部の東京開発スタジオマネージャーです。
―早速ですが、あたらめてどんなゲームなのか本作の特徴を教えてください。
寺井氏:「
アイテムのみを使用して戦う」ちょっと変わったシステムのRPGです。
ストーリーも少し変わっています。勇者の敗北した終末世界が舞台ですが、そもそも終末なんぞ関係なく
お金がなくて餓死しそうな一般人の主人公がお金を稼ぐため、町に出てきて会社に就職し、魔物と戦います。スマホRPGには珍しくエンディングが用意されてますので「クリア」できるのも特徴です。
―RPGというとエンディングまで結構色々ありそうですが、ステージ数はどのくらいあるのでしょうか?
寺井氏:ver1.0.2の時点で、
12ステージ、
60クエストほどあります。
奥田氏:無料というのも本作の特徴で、ガチャ系のシステムはいれてません。
―ガチャはないんですね。でも、動画広告でガチャのようなアイテムが当たる「ふくびき」がありますね。
▲動画を見ることでアイテムをゲットすることができる
奥田氏:「
ふくびき」はガチャのつもりで作ったわけではないんです。
寺井氏:出来上がってみたら、ランダムでアイテムがでるのもあって、結果ガチャっぽくなってました(笑)。
奥田氏:スタッフもすごい「
引かせて、引かせて」ってなっていました。攻略で使えるアイテムが貰えることもあって、ユーザーさんもどうやら
ガチャの感覚でやられている方が多いですね。
レビューやTwitterなどでユーザーさんの声を見ると、スマホで出しているのもあってソーシャルゲームのつもりでプレイされている方もいらっしゃったり。
我々は完全に道具屋のおまけの「ふくびき」だと思ってやっているので、基本的には当たらないです。普通のお店でもいくらか買い物したら「ふくびき」ってやりますよね。その感覚で「もしかしたら当たるかも?」ぐらいのニュアンスで作成しました。なので
1位は結構確率が低いです。
とは言っても、一般的なソーシャルゲームの1位より確率がいいので、「絶対当たらない」わけではないのですが、とにかくお金を払えば回せる10連ガチャとかでもないので、続けてたくさん回せたりもしないんですよね。
毎回動画を見ないと回すことができないので、当たりにくいという印象になっていると思います。
※編集部 註…ソシャゲのガチャのSSR等は0.0X%もありえる世界。確率はここでは触れないがだいぶ当たりやすい。
寺井氏:そもそも、「ふくびき」をそんなに回すというイメージではありませんでした。開発チームの中では「
今日のふくびき」みたいな感じで日々のプレイのついでに回している感覚でした。ところが、思っていた以上にユーザーさんの反響が良く「もっと回したい」という声もいただいてびっくりしています。
―当たるかもしれないと思うとついつい回してしまいますね。
奥田氏:ちゃんと後からからお店で購入できるんですが、その時のタイミングでお店にない賞品がふくびきに出ていたりするので「
これ(ふくびき)でゲットしなきゃいけない」って思わせちゃったところがあるかもしれないですね。
ソシャゲの感覚で行くと、とりあえずガチャ引いていいモノを揃えてから冒険に出たり、ポチポチやってれば、楽に勝てると思ってプレイするけど、本作でその状態で遊ぶとキャラクター自体のステータスがアップするものではないので、すぐ死んじゃったり。スマホで出してはいるけれど、
コンシューマーゲームのミニマムなものをスマホで出しましたぐらいのつもりで作っていました。
寺井氏:スマホのゲームとしては
プレイする人を選ぶだろうなと予想していました。UI等さわり心地の参考として、スマホのタイトルをいくつか研究はさせていただきましたが、ゲームの中身のシステムは、コンシューマーのRPGの文法で組んでいる場所も多いので。
奥田氏:そうですね、考えて遊んでいかないと。本当に始まって割りとすぐ、2つめのダンジョンから、
敵が殺しにかかってきますからね(笑)。
―チュートリアル終わった直後ですよね。覚えてます、本当に、ただ石投げるだけだと勝てない。
はじめから、こんなに考えてプレイするとは思いませんでした。
寺井氏:手持ちのアイテムをどう使うか、ちゃんと考えてプレイしなきゃいけない難易度ですよね。HPを増やすアイテムを使ってHPを増やして、それから石を投げてと、序盤は地道にやっていかないと死んでしまいます。
本作は「どのアイテムをいつ投げるか」という戦略を立てて遊ぶゲームですので、ユーザーさん自身に自分なりに工夫して遊んでいただく必要があるんです。
なので、油断しているとすぐ死ぬ感じになっています(笑)。
―毒も中々えげつないですよね。
寺井氏:工夫をしてプレイすれば勝てるように、えげつないように作ってます。
宝箱の目の前で毒で死ぬとかあるんですよ(笑)。
―そう! あともう一歩進めていれば補給できるんだけど、それがかなわないまま目前で死ぬ…! その悔しさや絶妙な難易度も本作の面白さでもありますね。
寺井氏:最近のゲームはわりと序盤は負けることがないように作ってあったりするので、
序盤から殺しに来るのも含め、本作ならではの特徴だと思います。なので
人は選びますが、ハマる人は「おぉ!」ってなるんじゃないかなと思います。
開発のきっかけは、「若手にリリースを経験をさせてあげたい」
―本作の開発のきっかけというのは、どんなところから始まったのでしょうか?
奥田氏:プロジェクトの目的はオリジナルのIPを出したいという思いもありましたが、会社として
「一通り自分たちでゲームを開発して、ちゃんとリリースまでする」という経験を若い子達にさせたかったというのもあります。
とくに我々の会社は、コンソールの大型タイトルをやるのが多く、数年のスパンを必要とするので、タイトルの担当パートによってはリリースまで経験できない場合もあります。なるべく早いタイミングでリリースを経験をさせたいと考えていたので、儲かる儲からないよりも
とにかくリリースすることを目標にしていました。
寺井氏:そんな経緯で、短期間で若手のみ少人数の条件でプロジェクトを立ち上げましょうという話がきまして、そこから開発をスタートしました。
奥田氏:
ただ、若い子たちだけで開発していくと、期日になっても「すいませんできませんでした」とか、クオリティーの低いものが出来上がったりとかするので、会社としてこんな条件をだしました。
・ヘキサドライブって会社がだしても恥ずかしくないクオリティーであること。
・TGSに出展すること。
・リリースできるスケジュールを組むこと。
・開発はプロジェクトメンバーの4人でやること。
丁度いいタイミングで東京ゲームショウ2016の出展があったんで、
逆算すると3カ月ぐらいですね。
寺井氏:3カ月しかなかったんです!TGSに申し込んだ時点で企画書しかなかったんです・・・すごかったですね(笑)。
―タイトですね。締め切りのTGSがずらせないので、かなりプレッシャーがあったように思いますがどうでしたか?
寺井氏:逆に言えば、期間が決まっていて「ここまで!」っていうのがはっきりあったので
ゲームの要素の選別も、どれをやってどれをやらないか最初からキッチリやれていたかなという感じはします。こだわる所はこだわって、こだわれないところに関しては時間がないからっていうのをハッキリと言えていました。もしかしたら、期間が決まっていなかったら全部こだわろうとしていたかもしれないです。
―中でも一番こだわられたのはどこの部分ですか?
寺井氏:RPGなので、ゲームとしてのバランスがしっかりしていること。ストーリーが面白いこと。それから、UIの分かりやすさや、操作感など、ゲームとしての要素が一定水準を満たしていることですね。
―アイテムを投げるというアイデアはいつの段階からあったのでしょうか?
寺井氏:そうですね。その開発の話がきた段階で、既にアイデアとしてはありました。
「アイテムだけ使って、敵を倒していく、2Dの横スクロールRPG」というコンセプトは最初から変わらずですね。
奥田氏:うまいこと作り切れたのも、期間が短く、スタッフの数もものすごく少ないので、やれることが限られてくる中でうまく収めたからですね。武器があって魔法があって、みたいな事をやると、それだけでメニューやらバランスやら作業量が増えてしまうので、それを一つにしたら作業量減るよねって発想から寺井が作ってましたね。
寺井氏:はい。アイテムのみなので全部まとめて一つですね。
あと、個人的にRPGのラスボス戦は
レベル上げをして余裕で倒すのではなくレベルも装備もギリギリで、ポーション99個みたいな状態で敵を倒すのが結構好きなので、そういった弱い状態から工夫して相手を倒す楽しさが作れればいいなというのもありました。
制作コスト的な問題もかなり大きかったんですけど(笑)。
―開発の人数が少なかったとのことですが、メンバーの構成を教えてください。
寺井氏:私がプランナー兼ディレクターで、プログラマーが一人、デザイナーは一年目と二年目の女の子です。途中から入ってもらった女性プランナーが一人います。
メインは四人でプラス一人の実質五人で制作しました。みんな入社して2~3年目位のスタッフです。
若手ばかりなので、今回はじめて経験することも多かったです。
私自身も一応スマホタイトルは一本他の先輩と一緒に制作経験があるのですが、やはり一本なので経験豊富なわけではなく、色々な壁にぶつかったりしました。
それこそストアに出す時の専門的な知識が不足していて、調べるところからはじめたので、そういった苦労はありました。
他にも、プログラムやデザインなどもそれぞれのパートで他のヘキサドライブ社内の先輩に助けてもらった感じになります。アドバイスをもらったりとか、「うまくいかないんですけど助けてもらえませんか」といった話をしながらやっていきました。
―手探りなことも多かったと思いますが、開発チームも年齢の近いスタッフが多いと楽しそうですね。
寺井氏:そうですね。和気藹々としていました。
奥田氏:そこだけ雰囲気が違うんだよね。突然女の子たちの笑い声が聞こえてきたりとかして。社内で一番楽しそうでした。
寺井氏:言ってましたね(笑)。
年齢もみんな近いので、共通の話題みたいなものがありました。例えば仕様の話をしていても、「あのアニメのこれ」って言ったときに、世代のものだったりすると「あー、あったね!」って謎の盛り上がりをみせたりしていました。
開発はキツイこともありましたが、楽しかったです。
ストーリーへの想いがキャラクターを生み出していく
―本作に登場するキャラクターは、とても人間味があって魅力的ですが、ストーリーやキャラはどんな風に決めていったのですか?
寺井氏:実はキャラクターの性格とかストーリーは、全部私一人でやっています。開発のメンバーはプレイチェックをして初めてこういうストーリーだったんだってわかる状況でした。
開発期間が短かったので、世界観の資料とかキャラクターの設定資料とかはなく、デザイナーの子とかにも、描いてもらのに最低限必要そうな情報だけを渡していました。
限られた情報しかみんな持っていない状態だったので、私が一人で考えてデータを入力したあと、プレイチェックすると
「このキャラクターこんな口調なの?」「この子ボクっ子なの?」ってなっていました。
▲可愛いボクっ子キャラクターも登場!
また、途中までデータを入力してプレイしてもらうと
「早く続き入力してください」って言われたり、仕様の話で「このキャラは後でこうなるから、今はこうして欲しい」と伝えると
開発担当同士なんですが「ネタバレやめてくれませんか」って言われたりしました(笑)。
―ディレクションのお仕事に加え、ストーリーをお一人で作るとなると、結構大変ですよね。3ヶ月のうち、どのくらいキャラクターやストーリーを作る時間をとりましたが?
寺井氏:会社の中で机に向かってストーリーを考えるのが得意ではなく、道を歩いているときとかにこんな感じにしようと考えて、テーマを決めていました。
実際ストーリーを書いていたのは2週間ほどです。
基本的に、影があるキャラクターが話をすすめるごとに過去がちょっとずつ見えていくというのが好きなので、
キャラクター一人一人に悩みがあり裏テーマを決めていて、それを少しずつ見せていこうとしていました。
ストーリーを書くときに気をつけたのは、
一度に全てを出しすぎないことです。全部を出しちゃうとキャラって深みがなくなっちゃうので、キャラの登場の都度、設定の一部分だけをチラッと見せて、「なんかこのキャラ深みがあるぞ」って思わせるように気を遣いました。
―ストーリーを作成するにあたって何か勉強されていたんですか?
寺井氏:会社に入社してからセミナーなどに参加したことはありますが、専門に勉強していたたわけではありません。大学も言語学部のドイツ語学科で、ストーリー構成の勉強などはしていません。
ですが、昔から本が好きで、ずっと本を読んできましたし、またRPGが好きで、ずっと遊んできました。なので
ストーリーを書くことに関しては多少の自信がありました。
奥田氏:寺井を新卒で採用した時に、そういう話ばかりしてくる子でした。この子にはいつかストーリーが面白い作品を作らせてやりたいなって思っていたので、ちょうど良かったですね。
寺井氏:面接のときストーリーの話しかしていない(笑)
今回はストーリーをガッツリ書きたいって言って書かせてもらったので、めっちゃ楽しかったです。好きにやって良いよって言われて、
わぁーーっと書いて(笑)。
奥田氏:僕の野望としても、こういうRPGとか作っていきたかったので、寺井にいつかやらせたいと思っていました。『ランページ ランド ランカーズ』のアイテムとかの文章は寺井が書いてたりして、ちょっとヘンテコな面白い文章とかは得意だったりします。
―ちょっとヘンテコというか、普通の王道なRPGからちょっとズレているのも本作の面白い部分ですね。主役なのに、勇者じゃなくて普通の平社員だったり、「たたかう」コマンドがただの飾りだったり。
寺井氏:あの
「たたかう」コマンドはかなり反応いただいてます。時間がなくて、ギリギリまで入れるか入れないか話していたんですが「入れて入れて」って言って入れてもらったんです。
―未だに間違えてしまいます(笑)
寺井氏:今「たたかう」を押すときに、本当に良いのか確認のメッセージが出るじゃないですか? あれは、
はじめ入ってなかったんですが「たたかう」の吸引力が強すぎるって話になり、間違えて押す人が続出したので救済処置でいれたんです。
奥田氏:毒で倒すときしか使い道ないんですけどね。
寺井氏:そうですね、今の所はターン数稼ぐときしか使い道がないですね。
―ターン数を稼ぐって使い道があるんですね。
寺井氏:一応あります。ほぼ無駄ですけど、待機コマンドっていう扱いですね。使い道がないわけではないっていう想定で作っています。
音楽のこだわりが世界観を構築する
―今回、メインテーマを「Mili」のYamato Kasai氏が担当していることを始め、カジュアルゲームとしてはかなり音楽にも力を入れていると思います。それぞれのアーティストの方の概要を簡単にご紹介いただけますでしょうか。
寺井氏:そうですね。やはり音はかなりゲームの印象に関わるので、力を入れてこだわりました。
なんと、四社、五名のアーティストの方にご協力いただいています。
メインテーマはおっしゃられた通り、
Yamato Kasaiさんに担当していただきました。今とても勢いのある多国籍ユニット
「Mili」のコンポーザーさんで、幅広い作曲をしていらっしゃいます。
「Mili」さんはついこの間10/12に2ndアルバム「Miracle Milk」を発売、日本だけではなく、世界的に大ヒットをしているようです。独特の世界観や作風で評価されている「Mili」の楽曲と、『アイ経』の不思議な雰囲気が見事にマッチしています。
(Mili公式HPはこちら:http://projectmili.com/)
▲MiracleMilk
バトル楽曲、ラスボス曲、勝利/敗北ジングルは、
IRMA LA DOUCEの
Yusuke Satoさんに担当していただきました。次世代渋谷系ユニット、 「camera-stylo」のコンポーザーさんで、CMやゲームなど幅広く活動されていらっしゃいます。
▽IRMA LA DOUCE
http://www.irmaladouce.jp/
街やワールドマップのテーマ曲や、ボス曲(邪神バトル曲)は、
Foxtail-Grass Studioの
ハムさんに担当していただきました。個人でアルバム作成を行われつつ、多方面への楽曲提供等も行っていらっしゃいます。今回は同人音楽サークルDiverse Systemさん経由で、楽曲の提供をしていただきました。
▽Foxtail-Grass Studio
http://f-g-s.net/
効果音に関しては、ゲーム音楽制作で有名な、株式会社ノイジークロークのサウンドデザイナー、稲岡 健さん、蛭子 一郎さんに担当していただきました。お二人とも、ゲーム音楽に対して熱い想いを抱えていらっしゃり、広く活躍していらっしゃいます。
―その中でも、「Mili」さんは音楽ゲームとして有名な「DEEMO」や「Cytus」に楽曲を提供していますが、今回どういった経緯で本作のメインテーマに選ばれたのですか?
▲Mili
寺井氏:アイ経は、ゆるくて可愛いのにどこか絶望的……そんな世界観をつくることを目指していました。そこで、「Mili」さんの可愛らしくも切ない音を使わせていただけたら、世界観がより深く構築されるに違いないと思い、お願いさせていただきました。……加えて、単純に、
ディレクターの私が「Mili」さんのファンだった、というのもあります。
私からマネージャーに
「Miliさんにお願いできたらとても嬉しいです」と話したところ、マネージャーもファンで、「よっしゃお願いしてみよう!」という流れになった、なんてエピソードもあったりします。
奥田氏:本当は、そんな予算とってないんだけどなって(笑)。
寺井氏:すいません。ムチャ言って。私も正直ダメ元でどうですかって言ったら、マネージャーもすごい乗り気になってくれて。
社内に「Mili」さんファンが多かったというのも大きかったかなと思います。
実際提供していただいたメインテーマもすごく綺麗で、楽曲で世界の雰囲気が演出されている箇所も間違いなくあるので、
「Mili」さんに頼んでよかったなあと思っています。
―音楽に対して強いこだわりが見受けられますが、時間や内容を絞っている中で音楽にこだわっている特別な理由などあるのでしょうか?
寺井氏:ネタバレになってしまうので概要だけですが、
ストーリーを進めると途中で大きく世界観が変わる転機があります。RPGではよくあると思うんですが、そこで
ガラッと雰囲気を変えたかったというのがあります。
そのために効果的なのが、音楽を変えることだと思いました。予算が無いって言われていたのですが、
どうしても2パターンずつ音楽は用意したくて無茶を言いいました。
奥田氏:こうやって作っていくと、音にこだわると効果音も必要じゃないですか?
最初は予算かけないでやろうって、一つ前に出した
『ダイコン王の野望ッッッン!!』のSEを使ってみたんですが、全然合わなくてこれダメだねってなりノイジークロークさんにお願いしました。
元々ノイジーさんとは別のプロジェクトとかでも話をしていたりとかしていましたし、前のオフィスの時は1分ぐらいの距離にオフィスがあったりして、仲良くさせてもらっていました。
寺井氏:ノイジークロークさんにはいくつか予定になかった音とか作っていただいたりもしました。ページをスクロールする時にカチカチ音が入ると思います。
それは元々は予定になかったんですけれど、ノイジーさんが「絶対あった方が良いですよ」と仰ってくださって。
お互いに熱意をもって作っていけたなあと、非常に感謝しています。
▲ノイジークローク
奥田氏:スマホのタイトルって大体が音なしでプレイする方も多いのですが、RPGの楽しみに音楽もありますからね。
僕も実際プレイする時はイヤホンでプレイしています。
寺井氏:ストーリーイベント中にも、曲を切り替えることで雰囲気を変える演出をかなり入れています。ユーザーの方にもぜひ音を聞いてプレイしていただきたいですね。
(続く)
インタビューは後編へ続く!
後半は11月後半公開予定、今後の開発の話も聞けるかも…!
一風変わった世界観と魅力あるキャラたちはやり込むほど好きになります!
まだ『アイ経』をプレイしていない人は、ぜひ遊んでみてください!
後半の更新もご期待ください!!