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『東京ゲームタクト2017』トークショーステージ「レジェンドコンポーザーズ」のステージ!【取材】

2017-06-02 18:00:00
5月6日(土)に大田区民ホール・アプリコにて開催された日本最大級の日本最大級のゲーム音楽フェスティバル「東京ゲームタクト 2017」。本稿では小ホールで行われたトークショーステージ「レジェンドコンポーザーズ」のステージ模様をお届け!

ファミコン時代からゲーム音楽を支え続けてきた作曲家方々のここでしか聞けない話が盛りだくさん!
 

「ゲームタクト」とは?

「ゲームタクト」は、ゲーム音楽作曲家が中心となりゲーム音楽の魅力を直接お届けするかつてないイベント。

ゲーム音楽を日本発の魅力的なカルチャーとして世界に広く紹介するとともに、ご来場のみなさまが作曲家やアーティスト、演奏家とともに、心ゆくまでゲーム音楽を楽しむ日本最大級のフェスティバルです。

作曲家の坂本英城が音楽監督を、指揮者の後藤正樹氏が総合ディレクターを務め、5月6日(土)に大田区民ホール・アプリコにて開催されました!

会場の様子


▲ゲームタクトの会場
  
▼当日の会場の様子はこちらから
『東京ゲームタクト2017』ゲーム音楽のフェスティバル!【取材】

 

▲開演前の様子

イベントスタート!

まずは本公演に登場した出演者さんをご紹介。

▲​MC おにたまさん
オニオンソフトウェア代表。有限会社ツェナワークス技術開発責任者。インターネット放送「OBSLive」、シリーズ企画「基板大好き」を始めとして、ゲーム史の研究取材、執筆を行っている。過去に企画展「GAME ON」、「パックマン展」、「レトロゲームアラカルト」などで講演。ゲーム製作で担当したタイトルは、『リトルマスターシリーズ』『ボクと魔王』『ドラゴンクエスト モンスターパレード』など。

出演者登場

▲Hiroさん
セガ・インタラクティブ サウンドセクション所属。ニックネームは「Hiro師匠」。SEGA Sound Unit[H.]のリーダーであり、キーボードを担当。現在は三国志大戦のサウンドを担当。代表作:『アウトラン』『アフターバーナー』『ファンタジーゾーン』『maimai』『ダーツライブ』他。
 

▲国本 剛章さん
ファミコン黎明期~PCエンジンまでのハドソン社ゲーム音楽を担当。現在は作曲活動と並行して複数のユニットでベーシストとして演奏活動をしている。代表作:『チャレンジャー』『スターソルジャー』『迷宮組曲』(ファミコン)、『カトちゃん&ケンちゃん』(PCエンジン)2016年にファミコンソフトの新作『8BIT MUSIC POWER』『キラキラスターナイトDX』に楽曲提供で参加。
 

▲古代 祐三さん
電波新聞社より発刊されていたマイコンBASICマガジン上に“YK-2”のペンネームでライターとして活動。ほぼ時を同じくしてサウンドプログラマーとして、『イース』『ソーサリアン』等、日本ファルコム社に作曲を提供。代表作:『ペアナックル』『アクトレイザー』『世界樹の迷宮』『パズドラクロス』
 

慶野 由利子さん
株式会社ナムコにて、業界初のゲーム音楽専門職として『ゼビウス』などを手掛ける。現在、文化庁のプロジェクトによる日本とアジアの伝統楽器のための作品、映像やタップダンスとのコラボレーションなど、ジャンルに囚われない音創りで独自の創作活動を展開中。代表作:『ディグダグ』『ゼビウス』『フォゾン』『ドラゴンバスター』『パックランド』
 

今回は質問した内容にそって出演者の方々が「Yes」「No」のパネルを出してトークを進めていきます。

最新タイトルにて制作された楽曲をご紹介


皆さんがどんな楽曲を制作しているのか、国本さん、慶野さん、古代さんが参加している『キラキラスターナイトDX』をご紹介。会場にはプロデューサーであるRIKIさんの姿もありました。


音楽を用意している時に

Hiroさん:楽しそうだなぁ~。

ちょっと羨ましそう(笑)これは次回作がある時にHiroさんの参加が期待できるかも!?

キラキラスターナイトDXとは?

2016年7月に発売されたFC・FC互換機ジャンピングアクションゲーム
漫画家のRIKI氏が監修・製作したジャンピングアクションゲーム『キラキラスターナイト』をベースに、更なるパワーアップを遂げています。

国本 剛章さん
『Star☆T』

タイトルにも表れていますが、イントロは自身の『スターソルジャー』をモチーフに作られているそうです。

Hiroさん:著作権的に問題ないですか?(笑)

国本さん:そのまま持ってきていないのでオマージュ的なやつです(笑)


イントロ以外は新しく書き起こしになっており、ファミコン音源の縛りでもある「三和音+1ノイズ」には思い入れがあるそうです。限られた制約の中で制作は大変そうですが「縛られるのが好きなんです(笑)」と会場を笑わせていました。

慶野 由利子さん
『COSMIC GARDEN』

意外にも慶野さんはナムコ時代にはアーケード版のゲーム音楽がメインであまり家庭用の曲は作らなかったそうです。ファミコン用には『さんまの名探偵』のBGMと『スターウォーズ』のスタートミュージックの編曲のみで、今回の「COSMIC GARDEN」は人生で3作目のファミコン作品とのこと。

元々『キラキラスターナイトDX』は豪華な製作スタッフで制作されておりBGM一つをとっても貴重なものですが、さらに付加価値が付いたような気がします。それだけでもプレイしてみたくなっちゃいますよね。

▼古代 祐三さん
『Seatown』
 
曲が流れた瞬間

Hiroさん:これ『イース』じゃないですか?!

と突っ込み(笑)

ファミコン音源はスペックが低くいですが、極限まで使いこなすと割と新しいチップチューンが生まれるそうです。しかしあえて古代さんは80年代の自分の打ち込んでいたようなテイストで作成したとのことで・・・

つまりイース風だということ(笑)

古代さん自身『イース』意識はしていないそうですが、1曲に対して自身のすべてを取り入れているからこそ『イース』を含め当時の音楽が名曲として残るのでしょうね。

また、タイトルに関しても古代さんが自身でつけられたそうです。

おにたまさん:このなんとも言えないあっさりした感じが『イース』に近いですね

古代さん:そうですね(笑)自分は曲のタイトルを決めるのが苦手なので、作者のRIKIさんにどんなステージで流れるのか聞いたら「海辺のステージ」って言ってたので、じゃあ『Seatown』でって(笑)

本来「Sea-town」として単語の間があいていますが、くっつけたことにより固有名詞化したそうです(笑)

『キラキラスターナイトDX』では昔はできなかった表現も現代の技術で表現できるようになっているので、ゲームをプレイするときは耳を澄ませるのもお忘れなく!

初めての打ち込みとHiro師匠の処女作


▲「初めての打ち込みはパソコンだった」の質問に慶野さん以外はYes。

当時パソコンという呼び名はなく「マイクロコンピューター」または「マイコン」と呼ばれていたそうです。「マイコン」には、マイクロコンピューターの略と私のコンピューターという意味が掛けられていて、個人のマイクロコンピューターのことを意味していました。

しかし慶野さんが会社で使用していたのは「業務用」。つまりマイコンでもない業務用コンピューター。ゆえにNoのパネルを表示したとのことで時代を感じますね。
 

▲こちらが慶野さんが使用していた噂の業務用コンピューター
 
それぞれ当時使用していた機材の写真とともに、初めて打ち込みをされていた時の話を披露
 

▲Hiroさんが使用していたのはVIC-1001
 
当時高校生のHiroさんはこのVIC-1001を使用してゲームを作りそこに自身の音楽を乗せて雑誌に投稿していたそうです。相当のめりこんで遊んでいたそうです。
 

▲当時Hiroさんが雑誌に投稿した『へびとたまごゲーム』

なんと今日の為におにたまさんがVIC-1001にプログラムを打ち込んで同じゲームを用意してきてくれました!
 

▲30年ぶりの再会

▲迷路の中でヘビを操作しながらたまごを食べるゲームです。

へびがたまごを食べると身体が長く成長していきます。へびの頭とゲーム内にいる敵がぶつかるとゲームオーバー。

ただ、敵に身体を食べられたリ、自分の身体にぶつかってもゲームオーバーにはならず得点がマイナスになります。こういう系のゲームではめずらしい仕様ですね。さすが個性が光る!

また敵さんは迷路の形とは無関係に襲ってきます(笑)迷路に影響されるのは自分だけ。敵がどこから襲ってくるか予想がつかずドキドキして楽しそうです。

操作画面を見ていたら元ナムコの慶野さんから感想が。

慶野さん:なんか絵がアレみたいで、音がアレみたいなのは個人の感想です。

Hiroさん:いえいえ(笑)決してナムコのアレとは違います!

慶野さん:そんなこと一言も言ってません(笑)

みなさん、ナムコの黄色いパクパクするアレとは違いますからね(笑)

そして、このゲームはHiroさんのメジャーデビュー作。販売されて印税も入ってきたそうです。かなり貴重なゲーム画面!他では見ることができないんじゃないでしょうか。ファンにとってはこれだけでも来た価値があります!!

切磋琢磨していた時代


▲「他社のゲーム音楽が気になる」の質問では国本さん以外はNO。

現在進行形ではなく当時気になったという国本さん。
元々ファミコンは外部にはブラックボックス化されていて内部の動作原理や構造など秘密になっていたそうです。

任天堂にしか仕様書がなくサードパーティーにあたるハドソンではマニュアルがないままゲームの開発が行われていました

例えば「三和音+1ノイズ」と言われていたファミコン音源ですが、DPCM(疑似音声、サンプリングした音色を利用)が出せると知ったのはしばらく経ってからだそうです。

国本さん:他のメーカーが出したソフトで人が喋ってるぞ!ってなって、なんで人が喋ってるの?って探っていったらDPCMがあったとか(笑)ファミコンが持ってる潜在能力って言うのを色んな会社が探ってたと思うんですよ。音だけに限らずグラフィックもそうだと思いますが。

使えるものが不透明のまま開発しているというのは想像がつかないですね。もちろん現在のハード機はスペックや仕様など公開されています。ハードのスペックが上がっている分開発も大変になってますが、当時は当時の大変さが伝わってきます。

Hiroさんの場合は、会社から曲を作りの際に求められたのがバンド音楽で、あまりゲーム音楽は参考にしなかったそうです。

だからこそ『スペースハリアー』など今までにないサウンドが生まれたのかもしれませんね。

古代さん:波形メモリが支流の中FM音源プラスPCMっていうとんでもないスペックものだったんです。それだけじゃなく曲が非常に素晴らしくてそこで次元が変わってしまったという印象です。

Hiroさん:ありがとうございます(笑)

古代さん:そこで私の人生も狂ってしまった(笑)本当は大学に進んで、何になったかは分からないですが、そういう予定だったのがHiro師匠にノックアウトされて、予備校も行かなくなりました(笑)


なんとHiroさんは古代さんの人生変えちゃったんですね。レジェンドはレジェンドを呼ぶのでしょうか。おかげで『イース』や『世界樹の迷宮』などの名曲を聞くことができるようになりました。

制限のある中での制作


▲「制約のある音源でまた曲が作りたい」最後の質問では満場一致でYes。

おにたまさん:おー、さすが!

会場からも自然と拍手がわきます。

Hiroさん:制約がある中で作ったからゲーム音楽というジャンルが発達したんだなと思います。逆に今はなんでもCDと同じ音が出せるので、それだけやってると世の中から埋もれてしまう。

おにたまさん:なるほど、じゃあそういう制限のある音楽をやってみたい?

Hiroさん:やるかどうかは別ですけど(笑)

慶野さん:実は最近になってFM音源のモジュール買っちゃったんです。FM音源は手掛けた時期が短かったというのもあり、もうちょっと何かできるんじゃないかなと。そういう特性のある楽器だと思ってその可能性を試してみたいなっていうのは常にあります。

国本さん:音数が3音までしか使えない制約があると、4和音5和音で表現したい時にどれかを削らないといけなくて、どれを削るかとかパズルみたいな感じで工夫するのが楽しい。


皆さんのお話を聞いていると制作意欲が伝わってきます。これから生まれてくる楽曲が時代に残る名曲となり……。伝説はまだまだ続きそうです。

今後も皆様の活躍に期待しましましょう!

キラキラスターナイトDX』などこれからもファミコン音楽が新作としてどんどん世に出てきてくれると嬉しいです。
 

▲ここでしか聞けない貴重なお話が盛りだくさんであっという間のステージ!
 
キラキラスターナイトDX』 

▲作曲家・慶野由利子さん(左)
『キラキラスターナイトDX』プロデューサーのRIKIさん(右)
 
『キラキラスターナイトDX』
 
2016年7月に発売されたFC・FC互換機向けジャンピングアクションゲーム。
国本 剛章さん、古代 祐三さん、慶野 由利子さんの制作された音楽も使用されているのでぜひチェックしてみて下さい!
 
「 キラキラスターナイトDX パーフェクトブック」 ムック本

音楽家インタビュー、ドット絵グラフィック、プロデューサー・RIKIさんによるコラムやアートワークが満載!付録ディスクには、音楽アレンジ版サントラmp3のほか、Windows用ソフトや、各エミュレーターで動作するイメージファイル、専用プレーヤーで再生可能なnsfデータ、mmlデータ、楽譜pdfまで収録されています。
 
8BIT キラキラスターナイトDX - RIKI collection -

前回8MP音楽CD収録に使った機材を使用した、新技術による新収録の音楽CD!
   
©noisycroak Co., Ltd. / ©Keyma

▼当日の会場の様子はこちらから
『東京ゲームタクト2017』ゲーム音楽のフェスティバル!【取材】
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