2019年版2本目の会社インタビューの記事は「出張ヒストリア」や「ぷちコン」などでも知られる、UnrealEngineの専門集団として活動している株式会社ヒストリアにお邪魔してきました。
※記事のボリュームから前編・後編2本立てでの公開です。前篇を読んで興味を持った方はぜひ後編も一緒にお楽しみください。
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2019年版【目指せゲーム業界】ヒストリアの社長にインタビュー!【後編】
インタビュイー:
株式会社ヒストリア
代表取締役社長 佐々木 瞬 氏
インタビュアー:
株式会社シフォン
代表取締役副社長 末広幸子(編集部:ミツヅノ)
会社情報
代表者と会社全体の紹介
▲代表取締役の佐々木氏。UE4の講演やイベントで会ったことがある方もいるかも?
ミ:ご無沙汰しております! それでは、ヒストリアさんの場合は広報の活動もかなり活発で、会社TwitterやUE4のイベント等での登壇で出ている情報も多いと思うのですが、簡単にまず会社の概要をお伺いできますか。
佐々木氏:ご無沙汰しております!
改めて、弊社はUnrealEngine4(以下UE4)専門のゲームデベロッパーです。
主に、コンシューマーゲーム機(PS4、Switch)、VR/AR(アトラクションVR、PS VRなど)、アーケードのコンテンツを中心に開発しております。ゲーム以外の分野も手掛けており、バーチャルモデルルームの「SolidVision」をはじめとして、建築業界、自動車業界、放送業界など非エンタメ業界に向けたコンテンツ開発も行っております。
ミ:いろんな言語や開発環境を使う開発会社がありますが、ヒストリアさんは数あるエンジンの中でも創業時からずっとUE4に取り組まれてますね。
佐々木氏:
ええ。元々私がゲーム会社でリードプログラマーとしてUnreal Engine 3を使用していました。Unreal Engineがとても魅力的なツールだったので、独立した際にUnreal Engineの専門会社としてやっていこうと決めて、今に至ります。ほぼすべての案件がUnreal Engineの案件で、5年間で大小のプロジェクトを数多くこなしてきたので、その積み重ねによる知見は他社にない強みだと思います。
社員から見た会社の姿
――――今回は現場からエンジニア/レベルデザイナーの馬場 俊行(ばば としゆき)氏、広報の中本千咲(なかもとちさ)氏にお話を伺いました。
ミ:こんにちは、よろしくお願いいたします!
馬場氏・中本氏:よろしくお願いいたします!
▲広報の中本氏(左)とエンジニアの馬場氏(右)。
ミ:それでは早速、エンジニア(プログラマー)の馬場さんから先にお話をお伺いいたします。
まず、ヒストリアさんですが、会社として「出張ヒストリア」の主催とともに多くの社員の方が登壇をされていたり、「アンリアルフェス」イベントへの協賛など、UnrealEngine関係のイベントにも出られていますよね。
他にも、会社としても技術ブログ、Twitter、Facebookとかなり情報があって、先ほどの佐々木さんからのご説明でもありましたが、UE4をメインの軸にしつつ、「会社が何をしているか」は外から見ててもかなりわかりやすい会社さんだと思います。
そこで、会社としてはいろいろ出ていてわかりやすいけど実際中の人はどう過ごしているんだろう?どんな人がいるんだろう?というところの実際の社員の方の話をお聞きできればと思います。
馬場さんの会社への合流はいつ頃だったんですか?
馬場氏:2014年の10月から、5人目のメンバーです。
ミ:昨年ヒストリアさんが5周年パーティーをやっていましたが、かなり初期からのメンバーだったんですね。
そこでお聞きしたいのですが、馬場さんの場合それまでもいくつか会社を経験したりしていたと思うのですが、すでにある程度安定して働けている会社がある中で、当時ベンチャーというか起業したての会社に行くときに勇気が必要だったりしませんでしたか?
馬場氏:いえ、そこは気にならなかったです。
自分は転職するたびに会社の規模が小さくなっていっていて。
最初は異業種の製造業の会社にいたんですが、会社の規模もとても大きく、グループ全体で1万人、会社の中でも1000人くらいの規模なので、部署以外の人だと顔を合わせると言っても廊下ですれ違う程度で。
そこから次に50人くらいのゲーム会社に行ったんですが、組織が小さくなっていくと自分の分の仕事のやりがいや、影響が分かりやすくなっていくので抵抗はなかったです。
ミ:組織がコンパクトになることで役割ややりがいがはっきりして馬場さんにとって働きやすかったということなんですね。
今も新人の方も含めて採用されていると思うのですが、教育で気を付けているポイントはありますか?
馬場氏:うーん、そうですね。
今の若い子は優秀な子が多いので、サポートに徹することですね。
ミ:相手を信頼して任せる、というのは場合によっては難しいと感じることも多いのですが、それでもきちんと任せられるように、相手の人柄だったり、性格も自ら進んでいけるタイプの人かどうかをよく見ているってことですよね。
馬場氏:ええ、その上で、つきっきりというよりはなるべく基本的には本人の自主性に任せています。大まかな方針をこちらで提示してあげて、細部で何か困ったときに、そのときだけ手を差し伸べるようにして。
ミ:ありがとうございます。他にも実際馬場さんが勤務していて、会社の中の働き方でいいなと思ったところとか、実際勤務してて良かったことはありますか?
馬場氏:会社で働いていて常に感じる事は、社員一人ひとりのスキルの高さです。これは開発現場においてより良いものを作り上げようとする意識の高さの現れだと思っています。クオリティの高いものを作ろうとするとどうしても技術的スキルが必要になってくるからです。
そして、そのスキルの高さを支えているものだと思うのですが、前職になくて今の会社にあっていいなと思うところは社内での技術共有ですね。
ミ:ヒストリアさんの場合、UE4の技術集団として技術ブログやイベントなどで外に向けてたくさん発信しているので自然と伝わる部分もありつつ、さらに社内用にもまた別でも共有する仕組みを設けているんですか?
馬場氏:エンジニアは自分が仕事で取り組んでみて気づいた問題点や、その解決方法だったり、気になったことをまとめて週1でのミーティングで発表しています。こうしてプロジェクトを跨いで同じ問題が起きるのを未然に防いだり、業務上どうしても偏りがちになる知識をアップデートできるようになっています。
まとめた内容は社内のWEBサイトに載せるようにしています。さらにまとめた内容は社内だけに留まらず、社外に向けても技術ブログとして発信しているのも特徴の一つだと思います。
ミ:なるほど!技術ブログをやられているのは前から拝見していたんですが、そういうミーティングでの共有を経た情報がブログに出てくるんですね。
この手の技術情報、よくある社内共有のパターンとしてはWikiとかに蓄積してあるけど蓄積しっぱなし!ではなく、ミーティングで都度発表し、共有されているんですね。
馬場氏:はい、発表するところまでやるので、知らない間にページが増えているというのはないようにしています。
ミーティングの議事録も書いて貯めているので、どんなことを発見したかとか、そういうことも共有されています。新しくはいった人にサイトと議事録の場所を案内して、空き時間やビルド時間に見てもらうように声をかけたりとかもしますね。
この辺りの情報共有はもう、社内の文化として根付いています。
ミ:今のお話の印象だと、たぶんそのミーティングやサイトの情報の蓄積って、ベテランだけが報告するわけではなくて、若手も自分が知りえたことを発表したり、中には誰でも知っているかもしれない、というようなものもありつつ、会社に所属しているエンジニアなら誰でもそこに参加する、という感じなんでしょうか?
馬場氏:そうですね。
技術的には難しくないものであったとしても、むしろ意外と知らなかったものもあるので、細かいことでもみんな率先して共有していくようにしています。
それに、新しい知識は若い社員のほうがいろいろ知ってたりするので、経験年数の長いベテランほど知識のアップデートが必要になりますね。
ミ:最後に、新卒入社などを目指す主に若手の方向けに、うちの会社を目指すならこれをやっておくといいよという、新米エンジニアに向けたアドバイスはありますか。
馬場氏:プログラムの基礎の部分ですね。
どうしても新しい技術、目新しいものに目移りしがちだったりするけど、基礎ができてないのに手を出してしまうと、せっかくの技術が使いきれてなかったり宙ぶらりんになってしまうんです。
本を読んだりして、例えば使っている言語がC++の場合は、Object指向などをきちんと理解できているかなどが重要ですね。
classだけ作ってあればのObject指向ってことでいいだろう、というような荒い作りになってしまってたりすると選考の時に評価が難しかったりします。
ミ:ありがとうございます! 貴重なお時間をいただきありがとうございました!
――――POINT
アンリアルフェス、出張ヒストリアなどのUE4系イベントで名前を見かけることの多いヒストリアの場合、もともとプログラマー(文化的にヒストリアではエンジニアとしている)をはじめ、企画、デザイナー(アーティスト)も基本的に開発を直接行う社員は全員UE4を触っているが、求人時点ではUE4に熟練してるかどうかよりも、各職業の基本がおさえられているかを重視している。
もちろんUE4の使用経験は就業後にスムーズに業務になじむためにあると良い要素だが、プログラマーはコードを書く上での基礎をおさえていることが重要になる。
応募要項・採用フロー
ミ:改めて、それでは佐々木さんにお伺いします。
ちょうど採用や実際に一緒に働くことになるエンジニアの馬場さんからもエンジニアの場合の選考基準を教えていただいていたのですが、他の職業の場合は採用の際、何を重視していますか?
佐々木氏:デザイナーはポートフォリオの内容で判断していますが、判断基準の一つとして、その人がいずれは専門パートのリードになれるかどうかも見て考えています。
ミ:成長した姿が想像できるかどうか。ポテンシャルがあるかどうかを見ているんですね。
佐々木氏:ええ。パートのスタッフをまとめる役割を持ったリード職になれるかどうか以外にも、たとえば、何か飛びぬけたスペシャリストになれるかどうか、または別の軸で、その人が成長した際に小さくても1つの案件を任せられるかどうかをみています。
この辺りの基準は、デザイナー以外でもそうですね。
ミ:デザイナーの場合は作品を見る場合には純粋に技量だと思うのですが、企画だとどこ見ますか?
佐々木氏:提出された企画書にフックがあるかどうかを一番見ています。
なるほど!と言わせるシステムなのか、このシステムとこの題材の組み合わせはは狙っているユーザー層に刺さりそうだとか、その分野への深い考察が感じられたりだとか。
逆に応募作品でフックが無いケースで多いのが、市場に出ているヒット作の単純な劣化版です。
既存のゲームとシステムが似ているのは良いのですが、そこに独自の題材を入れて、その題材なりの面白さを出す、などの工夫が必要です。
ミ:ありがとうございます。そのまま「ガワだけ変えた」ようなものではなくて、本人なりにゲームとして遊びを組み立てなおしているかどうかなどもご覧になっているわけですね。
そのほかにも、選考の際にインターンはやられてますか?
佐々木氏:必ずやっています。
遠方の場合は応相談ですが、インターン期間中には仕事のシミュレーションもあるのでやっています。
ミ:現在募集している職種を教えてください。
佐々木氏:(2019年7月の記事掲載時点の情報)
現在は特に、エンジニア(ゲーム/非ゲーム)、3Dキャラクターアーティスト、アニメーター、アシスタントプロデューサーを積極的に募集中です。
■主な求人職種
エンジニア:Unreal Engineを使用したクライアントプログラムの開発(ゲームルールの実装、UIの実装、ローレベルのプログラミングなど)を行います。
キャラクターアーティスト:3Dモデルの作成から、Unreal Engine内のマテリアルの作成します。
アニメーター:3Dのモーションを作成し、Unreal Engine上ではエンジニアと一緒にゲームルールに基づいた設定を行っていきます。
アシスタントプロデューサー:プロデューサーのもとでプロジェクトの進行や、予算・制作費管理の補佐などの様々な業務に携わって頂きます。
その他にも、プランナー、アートディレクター、3Dアーティスト(モデル、モーション全般的に行う)、UIアーティストを募集しています。
合わせてコーポレートサイトでも求人情報を掲載しておりますので、
こちら をご覧ください。
■応募方法
info@historia.co.jp こちらのメールアドレス宛に必要書類をお送りください。
件名「中途採用(または新卒採用)の応募」
氏名:
希望職種:
希望雇用形態:(正社員、業務委託など)
【必要書類】
・写真付き履歴書
・自己PR書(任意。A4一枚程度)
・職務経歴書(中途のみ)
・作品(中途のプログラマーは任意。アシスタントプロデューサーは作品不要です)
※書類は手書きである必要はありません。データ形式かスキャンデータでお送りください。
※書類や作品が3MBを超える場合は、オンラインストレージなどをご利用ください。
続けて広報の視点から見た会社の中の様子や、会社説明会などの情報もあわせてご紹介する 本記事の後編は
こちら からお楽しみください。
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2019年版【目指せゲーム業界】ヒストリアの社長にインタビュー!【後編】