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『バイオハザード7』VR完全対応への道のり ~2つのゲームを同時に開発?~【CEDEC2016】

2016-09-01 04:06:00
2016年8月24日(水)~26日(金)の3日間にかけてパシフィコ横浜にて開催された、日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2016」。

本稿ではカンファレンス2日目に行われたCAPCOMの「『バイオハザード7 レジデント イービル』におけるVR完全対応までのみちのり、歩みの中の気づき」より、同タイトルのNonVR(通常)版とVR版の違いを事例を交えてお伝えします。

登壇者

株式会社カプコン
技術研究開発部 技術開発室 プログラマ
高原 和啓氏

世界初!最新作のVR完全対応

本セッションは、『バイオハザード7』のVR完全対応サポートと同時に、「RE Engine」の開発も行った高原氏によって、“開発途中のタイトルをVR完全対応”させることの難しさが語られました。

「VR完全対応」とは、VR HMD(VRヘッドマウントディスプレイ)を装着したまま最初から最後までVRでプレイできるということ。ディスプレイに映像を映すだけではない“VR体験”と“品質”を両立しているという意味です。

『マインクラフト』をはじめとVR対応ゲームは、アップデート等でVRに対応したものが多く、最初から最後までVRでプレイできる新作ゲームとしては世界初であると語ります。因みに高原氏は開発中、他社がVRコンテンツを発表するたびに先を越されないかとドキドキしていたとのことです。

なぜ、同じことを他社がやらないのか?それはVR専用タイトルより莫大なコストがかかるからではないか、とも語ります。

『バイオハザード7』は2014年1月に開発が開始され、当初は“VRを組み込む”という企画でありました。“VR完全対応”という企画は……なんとその1年9ヶ月後の2015年10月。それまでに開発の済んでいた部分を全てVR完全対応させなければならなくなったのです。

『バイオ7』NonVR(通常)版とVR版の違い

▼オープニングイベントの有無
 
NonVR版:オープニングイベントあり
VR版:オープニングイベント無し

他のゲームでも一般的に導入されているオープニングムービー。ストーリーへ引き込むために使われるものですが、VR版ではあえてオープニングイベントをカットしてます。このイベントは、「主人公(プレイヤー)が目を覚まして起き上がる」というシーンの為、そのままVRで表現すると酔いが非常に発生しやすいのです。

この部分はストーリーの“キー”ではない為、ユーザーのストレスならないよう排除しています。

▼インタラクトイベントの演出
 
NonVR版:ピアノに触れようとすると、カメラが動き、そして手が伸び、寸前でピアノが閉じる演出が発生する。
VR版:ピアノに触れようとすると、手が伸びる演出はされず、ピアノが閉じる演出だけが発生する。

ゲーム内の物体に干渉するインタラクトイベント。ピアノに触れようとすると勝手にカバーが閉じるというイベントですが、VR版では極力手の動きやカメラの動きを排除しています。プレイヤーが動いていないのにカメラが勝手に動くことは、オープニングイベントと同様に、酔い、そしてストレスにつながってしまいます。

▼複雑なリアルタイムイベントの演出

 
NonVR版:今まで通りの演出
VR版:ゲーム内に“画面を表示”させて映し出す

ストーリーの“キー”となるイベントは酔わない為にと排除するわけにも行きません。どうしても表現する必要がある場合は、VRでは禁じ手と言われている“2Dで表現”しています。VR版で砂嵐やビデオカメラから見た映像を映すと非常に酔いやすいためこの手法を使うしかないと高原氏は語ります。

▼歩行・走行時のカメラの揺れ、移動速度
 
NonVR版:カメラが揺れ、約6.1km/h
VR版:カメラは揺れず、約4.2km/h

一人称視点のゲームでは、歩いたり走ったりすると画面が揺れます。ただそれをそのままVRで表現するとまた酔いにつながってしまうと語ります。三人称視点と一人称視点では体感速度が違い、同じスピードで試すと、一人称視点でかなり早く感じてしまうのです。これは、レースゲームなどでも実際に体験したことはありますよね。


▼他にも細かい点に様々な差
 
「しゃがみモーション」は、NonVR版で約0.5sで動くのに対して、VR版では0sとモーション無しに移動します。「懐中電灯の明かりの追従」は、NonVR版は動くたびに明かりが追従するのに対して、VR版は常に正面が照らされている状態です。
 
 
「インベントリ」の表示は、NonVR版は画面右側に表示、VR版はプレイヤー前方に浮遊している。と差があります。そして「手持ちのアイテム」は、NonVR版よりVR版での表示が引き気味になっているとのことです。


本セッションだけでも、様々な違いが紹介され、他にも細かいところで調整がはいっているとのことです。“カメラを2個置けばとりあえずVRではない”そして“2つのゲームを同時開発しているようなもの”と高原氏は語ります。

とにかく「考えるより試す」「既存の手法に惑わされない」ことが大事。ということです。
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