■勝敗よりも大事なもの■
続けて読んでいただいている読者の方はBitsummitの3つ目の記事となる本稿内では、主に物語や情緒を楽しむゲームを集めてみた。「忘れないで、おとなになっても。」「World for Two」「ghostpia」いずれも少しだけ現実から離れ、作りこまれた世界に浸って楽しめる内容となっている。
勝敗よりも大事なものがたくさんあるよ……!
「忘れないで、おとなになっても。」
放置ゲーム「昭和駄菓子屋」シリーズでおなじみのゲーム会社株式会社GAGEX。
操作のカジュアルさと昭和の駄菓子屋をテーマにしたほっこり&懐かし系のシナリオ展開が定番の「昭和駄菓子屋」放置ゲームシリーズだが、今回は同じ昭和をモチーフに使いながらも、RPGを製作中。
シナリオの冒頭一部がBitsummitにはプレイアプル出展されていた。
▲ブースの様子と、実際のプレイ画面
Bitsummitイベント会場ではプレイアブル分のシナリオをクリアするとアクリルキーホルダーとクリアファイルなどの特典がもらえた。
今回は現在の世界から過去の昭和の世界に戻ってお話が進んでいくのだが……GAGEXならではの懐かし・ほんわか系のシナリオは健在ながらも、お話の先が気になるような強めのフックが仕掛けられている。
今回は昭和をテーマにしながらも、かわいらしい3Dのボクセルアートで街並みやキャラクターが作られており、よい意味でおもちゃのような色彩と形で画面に程よく今っぽさもありつつ、うまくテーマと折り合いをつけて成立させていた。
▲Bitsummit展示では町の中をルッキンググラスで見られた!
プレイをする際には、RPGなので主人公キャラを操作して街の中の昭和あるある的な事件を解決したり、調べたりして進めていくことになる。
ぜひリリースされたら夕焼けの町の中を走り回ったりしながら、放課後に今はなくなりつつある空き地や公園、裏路地を走り抜けたり、鬼ごっこをしたりするような懐かしの昭和感を堪能してもらえればと思う。
出てくる建物や看板などの街並みや、アイテム類などに使われているモチーフの見た目からオッサンの心の柔らかいところをチクチクしてくるが、本編のシナリオもまた心の柔らかいところにジクジクすることになるので、楽しまれる際にはぜひ一人で落ち着いて遊んでもらいたいと思う。
執筆時点の2019年6月7日時点では事前登録キャンペーンを公式Twitterで行っているようなので、事前登録をされた方はご一緒にぜひ!
「忘れないで、おとなになっても。」配信決定記念 Twitterプレゼントキャンペーンのお知らせ!
World of Two
1週間ほど前にストアで無料総合ランキング1になっていたのですでに知っている人も多いかもしれない。
個人製作のアプリで、プログラム・企画を
しんいち氏、音楽を
椎葉大翼氏、ドット・アートを
ハフハフ・おでーん氏の3名で制作している。
普段は3名ともそれぞれ別のお仕事をやっているそうだが、Bitsummitは会社以外に個人開発者も多く作品を出展しており、多様な作品を見ることができる。
本作は人間や生き物が滅んでしまった後の世界に一人残った年老いた白髪の博士と、博士の作ったアンドロイドの自分とで地上に生き物を復活させていくゲームだ。
▲グッズの物販&ブースの様子
出展ではこんな具合にTシャツや缶バッジ、CDなどが会場で販売されていたが、1日目の14時ごろに伺った時点ですでにTシャツは残り一枚、アクリルキーホルダーはものによっては売り切れと大盛況であった。
作中では地上の施設からエネルギーを集めたり、生き物から遺伝子を分けてもらい、その遺伝子を組み合わせたりすることで死に絶えてしまった生き物たちを少しづつ地上に復活させていくことができる。
▲プレイヤーはアンドロイドとしてこの世に生まれてくるが、地上に生き物の姿はない
自分はアンドロイドなので作中に残った人間の文明の痕跡を見て「信仰が分からない」「墓という人間独特の不思議な風習」とアンドロイドなりの悩み(プログラム的には感情はないので正確に言うなら「判定」なのだろうが、、、)が見えたりするところが絵作りや音楽と合わさってたまらなくいい雰囲気だ。
▲夕暮れが美しい
生き物の開発を進めていき、遺伝子を集めていくと最初は魚類から始まり、最終的に哺乳類やもっと大型の生き物も開発できるようになっていく。
聖書にあった「ノアの箱舟」では神が一対の生き物を集めて船に乗せ、洪水から救ったとされているが、本作は博士とアンドロイドによって地上に命が満ちていく優しい希望の物語だ。
すでにストアに配信されているので、ぜひ実物をプレイしてもらいたい。
iOS
Android
料金:驚きの完全無料かつ広告なし!お好みで「OPTION」から「支援」で投げ銭ができる。
「ghostpia」
もともとは学校時代の同級生だった4人が中心となって活動している開発チームが「超水道」だ。大学受験の際に現実逃避で同人で活動を始めたのがきっかけ(!)だったそうだが、そのメンバーも結成後10年を超えている。
Bitsummitでは「ghostpia」のイメージムービーの出展を行っていた。
▲出展ムービー(動画)
さらに、冊子のプレゼントがあり、ブースに立ち寄った人たちに向けて作中のイラストから選りすぐりのものが収録されて頒布されていた。
▲会場で無料配布されていた冊子とポストカード
む、無料…!
▲画像はアプリのプレイ画面より。
独特の絵本のようなふんわりした色彩のイラストと、自己肯定感がぐらぐらする"10代感"がマッチ
ghostpiaはビジュアルノベルとしてもともとノベルゲーム投稿サイトの「ノベルスフィア」で開発されていたので、知っている方はそちらでご存知の方もおられると思う。
現在は移植を行い、iOSなどアプリ版も出ているが、さらにSwitch版の開発も行っており、2019年中の発売を目標にしているという。Switch版にはまたSwitch版用に細かな機能の追加なども追加を行うそうなので、楽しみにお待ちいただきたい。
スイッチ版が待ちきれない方は、ぜひiOS版、ノベルスフィア版で先にお話を追ってみてほしい。
ghostpia iOS
ghostpia ノベルスフィア
ghostpiaは主人公の小夜子の自己評価がイマイチ最初低いところからスタートするが、それがまた自己肯定と承認欲求、理想としている(できていたいと思う)自分と現実の自分(できなかったこと)のはざまで悩むことになるが、10代くらいのころの心の機微を感じてしまうので、これもまたこっそりと一人でいるときに楽しみたい作品だ。
超水道サイト
まとめ
Bitsummitの記事としてはお届けするのが少し遅くなってしまったが、いずれも時期なんか関係なく面白いゲームぞろいなので、ぜひ実際に遊んでみたいただきたい。
いずれもカジュアルでライトで、でも中身はしっかりと遊びごたえ、読み応えがあるので、例えば夜眠る前の1時間や、待ち合わせの前の30分など少しだけまとめて時間を取ってもらってまずは遊んでもらえればと思う。