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夏休みはゲーム作ろ!【出張ヒストリア2018】Unreal Engine4の事例紹介イベントの実施レポをお届け!

2018-08-30 19:04:00
今回はUnrealEngine4を使ったゲーム開発事例をご紹介する【8/5(日)】出張ヒストリア! UE4東京勉強会 イベントのご紹介記事です。
タイトルにある「夏休み」……そろそろ8月も31日が近づいてきていて宿題に迫られている読者もおられるかもしれないが、東京は毎日30℃をさまよっているので勉強どころじゃない感。こんな日にはもういっそのこと、家にこもってゲームとかガッツリ作ってはどうだろう?

なお、今年掲載する本記事は、「ゲームを作ってみたいとは思っているけど、詳しくはわからない」という方にも向けて、個々の技術の詳細よりはまずは会の全体像をお伝えすることを中心にしている。

「いつかゲーム開発者になりたい!!」そんな夢を抱いている方にも楽しんでいただける内容になっているので、ぜひ来年も(まだ予定は未定のようだが)開催された際には、ためらわず参加をしてもらえると良いだろう。

 

 
目次
 

「出張ヒストリア」とは

「出張ヒストリア」イベントを主催している「株式会社ヒストリア」といえば、ゲーム開発業界では Unreal Engine 4 (以下UE4)専門の開発会社として知られており、「出張ヒストリア」とは、ヒストリア社で開発に関わった内容を踏まえた勉強会を不定期に行っているものだ。

また、UE4自体はゲーム以外にも建築の業界や、映像作りなどにも幅広く使われているが、これ自体は便利機能がいろいろまとまっている「ゲームエンジン」というもの。
世の中にはゲームエンジンを使わずに開発を行う開発会社もあるが、多くのケースではプログラマーであったり、グラフィックデザイナーであったりがこういったUE4などのゲームエンジン上で設定を行い、ゲーム内に処理を反映していくことで、スピーディーかつ豊かな表現で制作ができるようになっている。
最初からある程度ゲームエンジン上に開発をする上で必要な機能が備わっていることで、便利に快適に開発ができるメリットが有るのだ。

今回の出張ヒストリアでも、やはり冒頭のセッションは初心者でもわかり易い内容で掴みつつ、徐々に中級、最終的にはガッツリ実務経験者向けとコマをすすめるごとに聴講側の難易度は上がっていくが、実演を多く取り入れたセッションがメインになるため、UE4を触ったばかりの人でもわかり易い内容となっていた。
また、今回聴講したライターはUnity使いではあるが、UE4の経験はないので不安も一部あったのだが、そんなライター氏でも無理なく吸収して帰ってこれているので聴講を迷っている読者諸兄もぜひ安心してほしい。

それでは、当日の内容を見ていこう。

当日の登壇内容、ゲストセッション

13:00-13:10 10分 佐々木 瞬(代表取締役 / プロデューサー / ディレクター) オープニング
13:10-14:00 50分 ゲスト:山中 拓也(プロデューサー/ディレクター) ゲストセッション(企画)
「ゲームコンセプト概論~刺さる企画の作り方~」
14:10-15:00 50分 ゲスト:株式会社バンダイナムコエンターテインメント 玉置 絢(プロデューサー/ディレクター) ゲストセッション(企画)
「新ジャンルゲームの開発の実際 – サマーレッスンを例に」
15:10-15:40 30分 岩田 里奈(UIデザイナー) コンシューマーRPG事例
「Caligula OverdoseでのUIデザインアプローチ」
15:40-16:10 30分 加藤 由梨枝(3Dアーティスト)
ゲスト:株式会社アユート 青木 大輔
モーションキャプチャー
「モーションキャプチャーを取り入れるには?」
16:20-17:10 50分 馬場 俊行(エンジニア)
二階堂 透(エンジニア)
コンシューマーRPG事例
「Caligula Overdose 開発ワークフロー アラカルト」
17:20-18:10 50分 ゲスト:Epic Games Japan 岡田 和也(サポートエンジニア) ゲストセッション
「猫でも分かる UE4のポストプロセスを使った演出・絵作り」
18:10-18:25 15分 - エンディング
「第10回UE4ぷちコン テーマ発表」

今回は前半2セッションが「プロデューサー・ディレクター・プランナー」向け、後半4セッションが「アーティスト・プログラマー」向けとなっている。

 
ゲストセッション

「ゲームコンセプト概論~刺さる企画の作り方~」
(「Caligula Overdose」プロデューサー/ディレクター山中 拓也氏)

今回、山中氏のセッションでは山中氏が企画立案・プロデューサーを務めた「Caligula Overdose」の開発時の内容も交えつつ登壇を行っていたが、メインは「企画のコンセプト」をいかにブレさせずに深掘りしてゲームを作っていくか、というところ。

「企画(コンセプト)とは木であり、仕様とは実である」と山中氏は登壇の中で語っていたが、コンセプトの木に仕様(ゲームに含まれる要素)という実がなった時に、どんなに美味しそうかつ画期的なアイデアに見えたとしても、その実がコンセプトの木そのものの成長を妨げるものや矛盾するものであった場合は取り入れない、と企画を作る上でのコツが語られていた。

たとえば、緊迫感・ギリギリのスリルが大事なゲームで、「周回」「超強い範囲攻撃」などを入れてしまえば、すでに一度体験したプレイをもう一度周回で再プレイすることで最初の緊張感はなくなり、作業感すら漂うプレイヤーも居ることだろう。
そうなると「緊迫感・ギリギリのスリル」コンセプトのゲームだった場合には、追加した要素はコンセプトを汚す要素にしかならない。「本当に良いアイディアというものはコンセプトを強化するもの!」であり、「どんなに面白いアイディアや要素でもコンセプトの上に乗らなければ却下」というころがゲームのあり方、面白さを真っ直ぐ届けるために大事かつ明快なポイントと言えるだろう。

当日のスライドはこちらからもご覧いただけるので、合わせて見てもらうとより深く理解が得られるだろう。
 
ゲストセッション

「新ジャンルゲームの開発の実際 -サマーレッスンを例に」
(「サマーレッスン」プロデューサー/ディレクター玉置 絢氏)

今でこそVRはVTuberの活躍や、VRchatなどコミュニティとしても大きな広がりを見せているが、玉置氏がプロデューサーを務める「サマーレッスン」開発当初では日本ではまだVRでの遊びは一般的なものと言える状態ではなく、多くのゲームユーザーにとってはVRとはどう楽しんでいいのか遊び方が確立されていないものであった。
世の中の多くのゲームは全部違うように見えてソーシャルゲームの一部などはカードバトル型など「フォーマット」が決まっている中で様々なバリエーションが有り、人間は一般的には見たことがある、既知の遊びはすでにその楽しさを経験しているからこそ「面白そう」と予測が立てられ、より前向きに吸収しやすい中で触れることになるといえる。
そんな中、VRはまだ「フォーマットのない未知の遊び」=「まだ面白さがわからないもの」であった。

玉置氏はセッション内でVR空間内で女の子と時間を過ごすという「(当時)まだ世の中にない遊び」をどうやって具体的な操作や内容に落としていったかを語ってくれていた。

また、サマーレッスンではヒロインとのやり取りを楽しむことが遊びの中心になることもあり、コンセプトにしたヒロインの「実在感」をいかにして保つかを大事に企画・開発が進められたのだが、驚くべきことに仕様の8.5割ほどが開発現場スタッフとのやり取り・提案で策定されたもので、原案の仕様通りのものはわずか1.5割ほどだったという。
実在感をきちんとリアルなものにしていくため、現場スタッフたちの「叶わなかった青春」を実現する力、二重の意味で熱いものがこみ上げてくるが、その青春が実現されたことでヒロインの部屋で過ごす時間がきちんとリアルな体験としてプレイヤーに届けられたと言えよう。

 
コンシューマーRPG事例

「Caligula OverdoseでのUIデザインアプローチ」
(株式会社ヒストリア UIデザイナー 岩田 里奈氏)

冒頭のゲストセッションで登場したプロデューサーの山中氏とともに、PS4で発売された「Caligula Overdose」を株式会社ヒストリアで開発を担当していたが、本セッションはその中でUIデザインを担当した岩田氏によるもの。

「Caligula Overdose」は前作Vita版の「Caligula」に新要素・新キャラクターを加え、文字通り「Over(過剰)dose(強化)」された「Caligula」の世界を山中氏の構想を踏まえ表現していくーーことになるのだが、前作の世界観を踏まえつつ、よりゲームを際だたせるためにゲームUIのテーマカラー含めデザインも一新。その際のUIデザイン制作の取り組みについて実際の開発画面を交えて登壇を行っていた。
 


▲実際に調整を行った例

「Caligula Overdose」と「Caligula」両方を遊ばれている諸兄であればすでに画面をご覧だとは思うが、UIテーマカラーが黒からPS4版の白・金に変わったことでガラリと画面の印象が変わった。ここにはレイアウトの角度から白色の濃淡に至るまで細かなデザインの手仕事が反映されているわけだが、女性ユーザーが多いタイトルではあるが、女性向けにしすぎず、また舞台は次代の学園ジュブナイルRPGでありつつ、「偶像殺し」×「現代病理」という尖った世界観が根底にあるので、画面の見やすさは担保しつつ、山中プロデューサーの想像するゲームのイメージを出せるか工夫の数々が語られていた。

その中でも全体としてのまとまりを考える際にレイアウトの妙(余白の使い方、余白の品格)というところは広告デザインなどでもよく使われる手法ではあるが、ゲームUI・デザインに置き換えた際に非常にわかりやすく解説されており、デザイナー以外の多職種でも論理的に理解しやすい内容となっていた。

 
モーションキャプチャー事例

「モーションキャプチャーを取り入れるには?」
(株式会社ヒストリア 3Dアーティスト 加藤 由梨枝氏+ ゲスト:株式会社アユート 青木 大輔氏)

このセッション内ではモーションキャプチャーの「光学式・慣性式・画像式」の3種類のタイプ別の詳細を解説。モーションキャプチャーといえば、全身にマーカーを付けて演者の動きを撮影し、ゲームのキャラクターにモーションを付けていくもの……とまでは想像できると思うが、詳しく見ていくとそれぞれの方式で取れる動きの精度やキャプチャーするときの空間の広さなど細かい違いや特性があり、使い所も変わってくるのだ。

本セッション内では実際に会場内で実演を交えつつ、VRリズムアクションゲーム「Airtone」でお馴染みの「ネオンちゃん」をVtuberとして動かしてみることでUE4上でのモーションキャプチャーの利用例を解説してくれていた。

本セッション内で特に言われていたのが、キャプチャー自体は装着してしまえば操作の難しいものではないので、動きのイメージを実際持っているプランナー自体や演者が直接キャプチャーの装置をつけて動かしつつ、その場でリアルタイムでUE4上デザイナーと一緒に修正・確認していくことでよりイメージに近い動きに仕上がっていくことだろう。

 
コンシューマーRPG事例

「Caligula Overdose 開発ワークフロー アラカルト」
(株式会社ヒストリア エンジニア馬場 俊行氏、エンジニア二階堂 透氏)

「Caligula Overdose」はVita版からの移植+新キャラクター、シナリオを始めとした新要素の追加ということで、元のゲームからのリメイクでありつつ、追加要素を考えると開発期間の11ヶ月は疾走するように開発に取り組まないといけない状態だったのだが、本セッション内では開発のスピード感を維持すべく行われた工夫について詳細が語られていた。

ポイントとしては「イベントスクリプト・技動作スクリプト・デバッグ機能」
VITA版のスクリプトはC言語に近い文法の独自スクリプトで実装されていたが、今回はそのスクリプトをUE4に移植する必要があった。新規実装も多かったためそのまま使用するのではなく、ローカライズの親和性とスクリプターの学習コストを考慮して、Excelから編集できる形式を採用した。Excel上で独自の入力補完機能を制作し、効率化を図っていたようだ。

スクリプトの各コマンドはBlueprintやC++で実装されており、1人の担当エンジニアがコマンドを量産したとのこと。PS4版で追加された大量の新規イベント部分のスクリプトは、Vita版から移植したスクリプトコマンドとは別の、キャラクターやカメラの配置情報や動きをUE4と連携を取って動作する命令で動いている。

また、講演ではバトル中の「技動作スクリプト」についても語られた。技動作スクリプトとは、キャラクターのひとつひとつの技の挙動を定義したデータのことだ。今回はUE4に移植するにあたって、UE4のAnimCompositeと独自のNotifyでデータを編集するようにしたとのこと。バトル中ではそのデータを独自の再生システムで再生していたようだ。講演の中で、AnimCompositeの画面を開いて技の攻撃判定のタイミングを変えるデモを行っていた。このようなシステムにすることにより、プレビューしながら編集することを可能にしていた。

 
ゲストセッション
「猫でも分かる UE4のポストプロセスを使った演出・絵作り」

(Epic Games Japan サポートエンジニア 岡田 和也氏)

最後のセッションはUE4の開発元であるEpic Games Japan からサポートエンジニアである岡田 和也氏を迎え、「猫でもわかる」と銘打ってポストプロセスを使った演出・絵作りについて。

内容の概要としては「UE4を使った画像処理、画作りの効果」をポストプロセスの機能から紹介していくもの。
Post Process Materialの工夫次第では、キャラクターに対してたとえば水彩画調の効果をかけて画作りに素朴で優しさのある味わいや奥行きをもたせたり、マップに対してぼかしや雪のような表現をかけたりということもできる。

しかし、UE4の場合Post Process Materialで様々な画面表現ができるメリットも有りつつ、調整に必要なパラメーターが大量にあり、実際の活用事例が今までそれほど多く紹介されてきていなかったことから、使えれば便利になるもののどこから手を付けていいかわからない……! そんな現状を考慮し、岡田氏は本セッションで機能の紹介をするに至ったと語っていた。

本セッション内では実際の機能の紹介から、Tips、実際の画作りの実演まで時に動画、実演を交えつつもりもりの内容で展開されていた。
こちらは氏の用意したスライドがかなり詳細で濃いものなのだが、セッション時間に対して内容がかなり圧縮されてしまっていたので、せっかくなのでこちらも本稿内では氏のスライドを直接リンクし、ご紹介させていただきたい。
 

まとめとぷちコン予告

だいぶ駆け足でのご紹介とはなってしまったが、少しでも「出張ヒストリア」の魅力が伝わればと思う。

また、当日のライブ感あふれる情報は #出張ヒストリア2018 ハッシュタグからも追うことができるので、当日の雰囲気も合わせてお楽しみいただければと思う。
本稿内でご紹介した以外にも出席者が撮影したスライドの写真も交えつつ、開発現場で実際に行った工夫や操作が追えるぞ!

さて、今回はダイジェストした内容になっているが、肝心の技術部分についてはぜひ「出張ヒストリア」に限らず、勉強会が開催された際には現地まで足を運んでライブでご覧いただきたいと思う。

また、会場まで遠いよ!!という遠方にお住まいの諸兄には株式会社ヒストリアの 技術ブログ でもUE4に関する技術情報が定期的に発信されていたり、新たなイベント情報の掲載もしているようなので、このあたりにも注目していっていただけると良いだろう。
「初心者向け」や「Animation」「建築向け」などカテゴリに分かれているので、何となくUE4は勉強してみたものの、機能をもう少し掘り下げて理解したい……であったり、機能があるのは知っているけど……具体的な用法でどんな使い方をしているなど、様々な情報が揃っているので参考になることも多いだろう。

 
第10回UE4ぷちコン 開催中
まだ間に合うぞ! 今回のコンセプトは「サクッと作ってサクッと応募」

さて、勉強会として登壇内容のご紹介は以上だが、ヒストリアが会社として継続して行っている取り組みとして、UE4の学習を目的とした一般参加型ゲームコンテスト「ぷちコン」の第10回目の予告も当日行われていた。
該当期間中に作り上げたUE4を使用した作品であれば、プロアマ問わず応募可能であり、ゲーム以外の映像作品やノンゲーム作品も応募対象になるそうなので、興味があるという方はぜひ詳細を告知ページから確認してみてほしい。

 

応募受付:2018年8月5日~2018年9月16日(17日の夜明け)
結果発表:後日発表

なお、もうひとつポイントとしては昨今嬉しいことにゲームエンジンや開発ツールも高機能なものが多くは無料で提供されているが、UE4も作品を販売した場合の収入に応じたロイヤリティ支払い(*)はあるものの、基本的にすべての機能が開発する段階では無料で使うことができる。

*…1 暦四半期ごとにゲーム 1 個につき 3,000 米ドルを超える額の 5% をロイヤリティとして Epic に支払う必要があるが、3000米ドルを超えるまでは無料で利用できる。
 

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2017年版の過去記事はこちら→
[取材]君もゲーム開発にチャレンジしないか?【7/18(祝)】出張ヒストリア! UE4東京勉強会 に行ってきた!
[取材]出張ヒストリア! UE4東京勉強会 登壇レポート①「新人プランナーの挑戦編!」
[取材]出張ヒストリア! UE4東京勉強会 登壇レポート②「アーティスト1人×1ヶ月編!」
[取材]出張ヒストリア! UE4東京勉強会 登壇レポート③「ブループリントの書き方・エンジニア編!」
ライター : ミツヅノ
不定期にゲームの紹介記事や、特集系の記事で出現する「ミツヅノ」です 普段はスマホのゲームを作ったり運...

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